平成の世になっても「社員旅行」を実施し続ける会社 2012年7月6日 企業徹底研究 ツイート 高度成長期の日本的経営においては、会社が福利厚生費を負担して社員を「旅行」に連れていくのが当たり前だった。当時の生活は今より裕福でなく、旅行に行くこと自体が贅沢だったので、社員はそういう時に会社勤めのメリットを感じたものだった。 しかし、今では、生活水準が全体的に上がり、いちいち会社に連れて行ってもらわなくても旅行できるようになったし、価値観も多様化して、仕事で顔を合わせる上司や同僚たちとわざわざ会社に行きたいと思う人も少なくなった――。一般的にはそういわれる。 そんな平成の世でも、社員の親睦を図るために「社員旅行」を実施し続ける会社がある。キャリコネのクチコミを検索したところ、コメント内に380件の「社員旅行」がヒットしている。重複などを除いても、200社以上分の書き込みがあると思われる。 「部署ごとに毎年行く社員旅行など、非常に楽しみにしています。(略)社員のことを本当によく思ってくれていると日々感じます。私は長くこの会社で働きたいと思ってます」(新日本製薬、30代前半の男性社員) ◇ 意外に人気?「社員旅行のために働いてる」人も 意外なのは、社員旅行を支持している書き込みが目立つことだ。「良い会社」という表現も印象的である。ただし、その場合の「良い」とは、製品・サービスの革新性や、業績の成長性でないことは言うまでもない。 「休日も社内イベントが多い。ボート大会、グループ会社合同の運動会、バレーボール大会、社員旅行など。(略)社内の雰囲気は大変穏やかでストレスを感じない。古き良きいわゆる日本の会社という感じがする。良い会社です」(日本郵船、20代前半の男性社員) 「職場の雰囲気は良い。(略)毎年、社員旅行と忘年会が必ずあり、そこで親睦を深めることもできる。社員と仲良く、和気あいあいと仕事がしたい人にとっては良い会社であると思う」(ショーワグローブ、20代後半の男性社員 ) いくら生活水準が上がったからといって、海外旅行に行く機会はバブル期よりも急激に減っている。会社のお金で行けるのならば「ありがたい」と思う人もいるようだ。 「最近では一週間ほどタイのバンコクへ行きました。旅行の内容も素晴らしい!ホテルとかもかなり有名なホテルでしたし食事も凄かったです!(略)この社員旅行のために働いてる人もいるかも(笑)」(英雅堂、20代後半の女性社員 ) ◇ 「一体どこで還元してくれるのか」 社員は期待している グローバル化が進む世の中で、何が社員旅行だ、古い日本の風習を引きずるな、と憤る人もいるかもしれないが、外資系企業であっても、このような懇親の場は大切にしている。 「外資系ではあるが、日本的な面も多く、昇進については年功色が強い、また部門ごとで毎年社員旅行なども企画されており、新人芸など今時日本企業でもやらないような日本的なカルチャーもある」(アフラック、30代前半の男性社員 ) 懇親にとどまらず、異性の社員と出会いの場にもなっているようだ。 「女性は社内恋愛比率が高い。(略)社員旅行は泊まり掛けで行く事も多く、その時に親密になるものもいる」(キーエンス、30代前半の男性社員) 「社内結婚についても、ここ2~3年でかなり増えたと思われます。(略)なかには、社員旅行がきっかけでなかなか知り合えない部署同士で結婚した方もいるそうです」(スカイマーク、20代後半の男性社員) 一方で、「社員旅行は数年前に打ち切られた」「質素な旅行しかなくてつまらない」という不満も見られる。誰もがイヤイヤ行っていると思いきや、実はみんな期待しているのである。単なる節税対策ではなく、モチベーション維持の施策として見直されてもいいのではないだろうか。 「この企業に入った後に待ってるのは、つらく苦しい労働環境だけです。社員旅行もあるらしいけど、しょぼいとこのみ。今年は確か、新潟だって聞きました。一体どこで社員に還元してくれるのかと、ほんとうに疑問に思う企業です」(タリーズコーヒージャパン、20代前半の女性社員) 【その他の企業徹底研究の記事はこちら】 *「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年6月末現在、45万社、18万件の口コミが登録されています。
平成の世になっても「社員旅行」を実施し続ける会社
高度成長期の日本的経営においては、会社が福利厚生費を負担して社員を「旅行」に連れていくのが当たり前だった。当時の生活は今より裕福でなく、旅行に行くこと自体が贅沢だったので、社員はそういう時に会社勤めのメリットを感じたものだった。
しかし、今では、生活水準が全体的に上がり、いちいち会社に連れて行ってもらわなくても旅行できるようになったし、価値観も多様化して、仕事で顔を合わせる上司や同僚たちとわざわざ会社に行きたいと思う人も少なくなった――。一般的にはそういわれる。
そんな平成の世でも、社員の親睦を図るために「社員旅行」を実施し続ける会社がある。キャリコネのクチコミを検索したところ、コメント内に380件の「社員旅行」がヒットしている。重複などを除いても、200社以上分の書き込みがあると思われる。
「部署ごとに毎年行く社員旅行など、非常に楽しみにしています。(略)社員のことを本当によく思ってくれていると日々感じます。私は長くこの会社で働きたいと思ってます」(新日本製薬、30代前半の男性社員)
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意外に人気?「社員旅行のために働いてる」人も
意外なのは、社員旅行を支持している書き込みが目立つことだ。「良い会社」という表現も印象的である。ただし、その場合の「良い」とは、製品・サービスの革新性や、業績の成長性でないことは言うまでもない。
「休日も社内イベントが多い。ボート大会、グループ会社合同の運動会、バレーボール大会、社員旅行など。(略)社内の雰囲気は大変穏やかでストレスを感じない。古き良きいわゆる日本の会社という感じがする。良い会社です」(日本郵船、20代前半の男性社員)
「職場の雰囲気は良い。(略)毎年、社員旅行と忘年会が必ずあり、そこで親睦を深めることもできる。社員と仲良く、和気あいあいと仕事がしたい人にとっては良い会社であると思う」(ショーワグローブ、20代後半の男性社員 )
いくら生活水準が上がったからといって、海外旅行に行く機会はバブル期よりも急激に減っている。会社のお金で行けるのならば「ありがたい」と思う人もいるようだ。
「最近では一週間ほどタイのバンコクへ行きました。旅行の内容も素晴らしい!ホテルとかもかなり有名なホテルでしたし食事も凄かったです!(略)この社員旅行のために働いてる人もいるかも(笑)」(英雅堂、20代後半の女性社員 )
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「一体どこで還元してくれるのか」 社員は期待している
グローバル化が進む世の中で、何が社員旅行だ、古い日本の風習を引きずるな、と憤る人もいるかもしれないが、外資系企業であっても、このような懇親の場は大切にしている。
「外資系ではあるが、日本的な面も多く、昇進については年功色が強い、また部門ごとで毎年社員旅行なども企画されており、新人芸など今時日本企業でもやらないような日本的なカルチャーもある」(アフラック、30代前半の男性社員 )
懇親にとどまらず、異性の社員と出会いの場にもなっているようだ。
「女性は社内恋愛比率が高い。(略)社員旅行は泊まり掛けで行く事も多く、その時に親密になるものもいる」(キーエンス、30代前半の男性社員)
「社内結婚についても、ここ2~3年でかなり増えたと思われます。(略)なかには、社員旅行がきっかけでなかなか知り合えない部署同士で結婚した方もいるそうです」(スカイマーク、20代後半の男性社員)
一方で、「社員旅行は数年前に打ち切られた」「質素な旅行しかなくてつまらない」という不満も見られる。誰もがイヤイヤ行っていると思いきや、実はみんな期待しているのである。単なる節税対策ではなく、モチベーション維持の施策として見直されてもいいのではないだろうか。
「この企業に入った後に待ってるのは、つらく苦しい労働環境だけです。社員旅行もあるらしいけど、しょぼいとこのみ。今年は確か、新潟だって聞きました。一体どこで社員に還元してくれるのかと、ほんとうに疑問に思う企業です」(タリーズコーヒージャパン、20代前半の女性社員)
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*「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年6月末現在、45万社、18万件の口コミが登録されています。