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仕事のエコノミクス

どうして給与は上がらないのか?――利益の行き先はここだった
(更新日:2009/06/01)

  
  
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 バブル崩壊後の「失われた10年」に苦しみながらも、国内企業は2000年代に入ってから、業績を回復させてきた。徐々にではあるものの、売上高は伸びつづけ、利益率も回復している。
 しかし、サラリーマンの給与はこの10年間、ずっと下降をつづけたままだ。どうしてなのか。企業があげた利益は、従業員には還元されず、ではどこへ行ってしまったのだろう。
 その答えが、財務省の「法人企業統計調査」にある。グラフが示すとおり、それは「社内留保」と「配当」だ。
 つまり企業は、もうけを従業員には回さず、内部に貯め込むか、株主に支払っている。
「経済がグローバル化をするなかで、株主価値を高めなければ、会社はM&A(合併と買収)をされてしまう」
 昨今、そんな脅しの論理が展開されている。「企業を守る」という御旗のもと、しわ寄せは、働く人たちへと向けられている。

どうして給与は上がらないのか?――利益の行き先はここだった [仕事のエコノミクス]

 こうした安易な賃金カットに向かう経営者に対しては、与党からも批判が出ている。
 2008年末から東京では、日比谷公園の「年越し派遣村」が大きな話題になった。直後にあった09年1月の衆院予算委員会で、自民党の重鎮である与謝野馨・経済財政大臣が、製造業で相次いだ派遣切りについて批判した。
「人を安く使おうという傾向が、企業に見られるのは残念だ。何兆円の内部留保を持っているところが、職を簡単に奪うのはどうか」
 これまでに積み上げてきた利益を使えば、雇用の維持はできるはずだという考えだ。
 河村建夫官房長官も、企業が社会的責任を果たすように求めた。
「企業はこういう事に備えて内部留保を持っている。こういうときに活用して乗り切っていくべきだ」
 いまの「派遣切り」は、正社員に対する雇用調整を抑えるバッファー(緩衝材)となっている面も大きい。不況がこの先も長期化すれば、さらに本格的な賃金カットや雇用調整が、正社員へ向かうだろう。

 ただここで、注意したい点もある。「内部留保」をめぐっては、一部に誤解があるからだ。これまでの議論には、あたかも「内部留保」という金が、企業のサイフの中に、そのまま現金として残っているイメージで受け取るひとも少なくないだろう。
 しかし、そうではない。
 これは財務諸表の見方について知識があるならば当然のことだが、企業の「内部留保」とは、企業がかかえもっているキャッシュではない。
 内部留保とは、財務諸表(財務3表)の一つである貸借対照表のなかで、右側に出てくる細目である。つまりそれは、バランスシートにおける「貸し方」の項目である。
 バランスシートの右側(貸し方)とは、その会社が「どうやってお金を集めてきたか」を表している。そして、さまざまな方法で集めた金を、どのように使っているかが、同じバランスシートの左側(借り方)に表れるのだ。
 もちろん、バランスシートの左側にも、現金として残っているものはある。しかし大半は、企業がさらに生産を拡大して成長をするために、工場や建物、機械などの有形の固定資産や、特許権や商標権などの無形の固定資産、有利な運用などができる有価証券などへと、姿を変えている。
 このように、企業の財務構造がどうなっているのかをきちんと理解することも、サラリーマンとして生き延びる術の一つだろう。サラリーマンの給与が厳しい時代だ。身を守る力をつけたい。



(記事:Bizトピックス編集部 → 編集記者募集中

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