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仕事のエコノミクス

いまでは5軒に1軒が「貯金ゼロ」世帯 (更新日:2009/08/03)

  
  
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 前回と前々回の「仕事のエコノミクス」は2回にわたって、「収入」という点に注目した。それぞれ、総務省の「家計調査年報」と、国税庁の「民間給与実態統計調査」という二つの統計データにもとづいて、世帯ごとと個人ごとで、この国で働いている人たちの収入をめぐる平均像を見た。いわば、家計のフローの部分だ。
 そこで今回は、家計のストックに着目する。「貯蓄」だ。これまでしばしば、日本人は貯金好き、などと言われてきた。ところが、この10年間で、その容貌は大きく変わっている。平均貯蓄率はガタガタと下がりつづけ、いまや「貯蓄がまったくない」という世帯が急増している。

金融広報中央委員会「家計の金融行動における世論調査」

 まずは金融広報中央委員会がまとめた「家計の金融行動における世論調査」を見てみよう。
 最新の2008年のデータによると、まったく貯蓄をもっていない世帯の割合は、22.1%に達している。つまり、いまや日本では「5軒に1軒」が、預金や貯金がゼロというわけだ。しかも「4軒に1軒」のレベルに近づいている。
 貯蓄をもたない世帯の割合は、バブル経済が崩壊した1980年代後半から、じわじわと上昇してきた。70年代や80年代までは、こうした「貯蓄のない世帯」はわずか5%程度だったが、90年代になると10%を超し、2000年代に入ってからは20%台で推移している。
 ところが一方で、貯蓄をしている世帯だけみれば、「平均貯蓄額」は上昇しているのだ。その額は、この10年間で、1309万円から1508万円へと、200万円も増えている。まさに二極化だ。現在の日本は、持てるものはますます持ち、持てないものはますます持たない、という状況へと突入している。

内閣府「国民経済計算」

 では、家計の貯蓄率は、どのように推移してきたのか。これを知るデータが「国民経済計算」だ。2007年の家計貯蓄率は、3.3%にまで低下した。
 ところがアメリカは逆だ。株や土地への投資を優先し、貯蓄をしない気質として知られていたアメリカでは、貯蓄率がにわかに上昇している。この傾向は、地価の下落にともなうサブプライム住宅ローン問題の発生以降で顕著になり、いまでは貯蓄率は6%を超えて、「日米逆転」となっている。
 つまり、不景気は、日本では貯蓄を滞らせ、アメリカでは貯蓄を促したわけだ。もっとも、日本の貯蓄率が低下している原因としては、高齢化の影響も大きい。貯蓄とは、主に老後への備えである。
 だから高齢者の世帯が増えると、「貯める」世帯よりも、「取り崩す」世帯の割合が高まることになる。高齢化によっても進んでいる二極化。ここに今後の景気悪化が加われば、さらに貧富の差の拡大に拍車がかかる恐れがある。



(記事:Bizトピックス編集部 → 編集記者募集中

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