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仕事のエコノミクス

驚くなかれ、日本の1世帯あたりの平均貯蓄額 (更新日:2009/08/17)

  
  
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 それを見た者のほとんどに、いわく言いがたい感情を引き起こす統計がある。世帯別の「貯蓄額」の平均値は、その典型だろう。
 この記事は前回、家計のストックに注目し、まずは「貯蓄率」を見た。そこで今回は、金額そのものに目を向ける。
 日本人の平均の貯蓄額はいくらか。最新の2007年における総務省の「家計調査年報」の基づいて、独身者などを除いた二人以上いる世帯での平均をみると、1世帯当たりの貯蓄額はこうだ。

 1719万円。

 さあ、いかがか。
 「そんなのウソだ」と、思わず驚くに違いない。そんなに貯蓄があるはずがない、というのが率直な感想のはずだ。
 しかもこの金額は、不況の影響などを受けて2年連続で減少した結果でもある。
「とてもではないが、この半分さえ持っていない」と感じる世帯が、過半だろう。

貯蓄高別の世帯数の分布

 その実感もまた、正しいのだ。つまり、この「貯蓄の平均額」という統計上の数字には、いくつかのマジックが施された結果であるから。
 そこでまず、その種明かしを見ていこう。最初に、この数字には引退した世代が含まれていることが重要だ。つまり、会社などから退職金をもらった高齢者の世帯である。
 そこで、こうしたリタイア世代を除き、現役の勤労世帯だけで統計を取ると、貯蓄額の平均はぐっと下がって、1268万円となる。
 しかし、これでもまだ高い。そこで、「平均値」ではなく「中位数」を見てみたい。貯蓄額について平均をとると、何億円もの資産を持っている数少ない富裕層が、全体の数値を引き上げてしまう。
 そこで、勤労世帯の貯蓄額を上から大きな順に並べていき、ちょうど真ん中にきた数字(中位数)をとってみる。すると、こうなる。

 783万円

 どうだろうか。ここまでくると、かなり実感へ近づいているに違いない。

 そして、最後に「貯蓄の内訳」がある。こうした統計においては、「貯蓄」という場合には銀行や郵便局への預貯金のほかにも、さまざまな金融資産が含まれる。
 勤労世帯の平均貯蓄額のうち、預貯金は半分以下の45%。ほかにも、生命保険の残高が28%あったり、株や投資信託なども12%ある。普通に「貯蓄はいくら?」と訊かれると、預貯金だけを思い浮かべて、「うちは、300万円しかないぞ。世間に比べて少なすぎる」と嘆くかも知れない。
 だが、一般の勤労世帯ならば、生命保険や傷害保険に入っていたり、勤め先の会社の従業員持株会などに加入していたりするだろう。それらをすべて加算すれば、この「中位数」へと、それなりに近づくはずだ。

 ただし、そのことと「貯蓄額が十分であるか」は別問題だ。では、必要な貯蓄額とは、いったいいくらだろう。最後にこのことを考えたい。
 目安の一つとして、経済コンサルタントの木村剛氏が著書『投資戦略の発想法』などで提案している金額がある。

「できれば2年間、少なくとも1年間は暮らしていけるだけの資金」だ。

 これを木村氏は「生活防衛資金」と呼んでいる。自分の生活防衛資金はいくらだろうか。算出するには、まず1カ月あたりの必要な最低の生活費を考える。家賃や食費、教育費などを含めて1カ月に40万円ならば、2年間の生活防衛資金は960万円だ。だから、少なくとも1年分の480万円は、貯蓄しておいたほうがいい。
 生活防衛資金の目安とする期間の「2年間」とは何か。それは、もしもいま、自分の会社が倒産したりリストラに遭ったりして失職した場合に、新しい仕事を見つけられるまでの期間のことだ。木村氏は書いている。

「最低2年の余裕があれば、あせって『とにかく何でもいいから仕事をください』と頭を下げて回らずにすむ。足元を見られず、対等な立場で再就職の交渉ができる」

 自分にとって、適切な「貯蓄観」をもつことが大切だろう。



(記事:Bizトピックス編集部 → 編集記者募集中

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