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仕事のエコノミクス

仕事と給与のトレンドを、新聞の「景気指標」で読む

  
  
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 これまで、この「仕事のエコノミクス」のシリーズでは、計11本を掲載した。いずれも「給与」をめぐる官民のさまざまな経済データをとりあげている。
  最初のうちは政府系の資料を中心に観察してきたが、その後は民間アンケートや国際データなどにも視点を広げている。
  だが、こうしたデータを原本から整理するには、やや手間がかかる。では、多忙なサラリーマンが、普段からもっと気軽に、給与に関するデータを観察できないだろうか。
  そこで今回は、日々の新聞のなかで「給与」がどのような統計として表れ、更新されているかを見てみよう。もっとも使い勝手がよいのは、日経新聞の月曜日の朝刊だ。
  ところで、普段から新聞をよく読む人にとっては、
「月曜日の新聞は、おもしろくない」
  というのは、定番の意見かも知れない。いかにも「新聞通」らしい見方だ。
  新聞とはそもそも「前日のニュース」を主に伝える媒体だ。このため、政治や経済活動の多くが停止する日曜日は必然的にニュースが少なくなり、したがって月曜日の新聞はつまらなくなりがちだ。このことを、よく知っている人の感覚が、こうした意見には表れている。
  しかし、日経新聞の月曜朝刊には、独特の読み物がある。それが今回取り上げる「景気指標」の欄だ。

一人がもらっている所定内給与と所定外給与と賞与の総額

 経営コンサルタントの小宮一慶は近著でこう書いている。
「月曜日の日経新聞ほど世の中で安いものはない」
  その理由が、この月曜日に掲載される「景気指標」。小宮さんはこれを「宝の山」と呼ぶ。ではさっそく、景気指標の実物を見ていこう。
  日経新聞の景気指標欄は、数多くの指標がずらりと並んで壮観だ。このうち、仕事と給与に密接に関わるもっとも重要な指標が、「現金給与総額」だ。
  現金給与総額という名前からは、あたかも「日本中の給与の合計額」というイメージがありそうだ。しかし実際は違う。この現金給与総額という意味は、一人あたりの給与総額のことだ。つまり、
「一人がもらっている所定内給与と所定外給与と賞与の総額」
  を指している。この変化が、景気指標欄に表れている。
  日経新聞3月1日付の紙面には、昨年12月までの数値が月ごとに掲載されている。最新の12月は、なんと前年同月比でマイナス5.9%にも落ち込んでいる。給与は現在も、大きな下落トレンドが続いていることが分かる(写真1)。
  そして、さらにこの欄をよく見ると、6月と12月の減り方がとりわけ大きいことにも気づくだろう。これは、給与の抑制が主にボーナスカットを中心に進められていることを示している。減りつづけてきた給与が、まったく回復傾向にないどころか、さらに厳しい水準へと落ち込んでいく流れだ。

所定外労働時間

 さらに見ていこう。隣の「所定外労働時間」の動きを見ると、昨年の前半は大幅に残業時間が削られている傾向が強かったが、後半からはこれは緩やかになっていることがわかる。残業時間のカットが一段落しているようにでもある(写真2)。
  しかし重要なのは、その隣の「常用雇用指数」だ。正社員や長期間のパートタイムとして雇用される人は、むしろ昨年後半からはマイナスに転じている(写真3)。
  これらを合わせて考えれば、正社員全体の数を減らして短期雇用などでカバーすることにより、人件費を浮かし、残業時間の減少を抑えているという関係が推測できる。
  「完全失業率」や「失業率」も回復していない。「小売業販売額」も「全国百貨店売上高」も、減少が続いている。
  こうした世の中の動きが、わずか1枚の新聞のページから読みとれる。「景気指標」欄はとても近い勝手がよく、貴重なページだ。

(記事:Bizトピックス編集部 → 編集記者募集中

常用雇用指数

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