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就業者の1割超える高齢者 「好きで働いているわけではない」の声も
総務省が18日に発表した2013年の労働力調査(速報)によると、65歳以上の高齢者が就業者全体に占める割合が10.1%となり、初めて1割を超えた。
欧米の主要国は5%以下が多い。日本の高齢者は労働意欲が高く、厚労省の「中高年縦断調査」(2010年)でも、60~64歳のうち56.7%の人が「65歳以降も仕事をしたい」と答えていた。
「若者の職を奪うな」批判もあるが
このような状況に対し、元新聞記者でネットジャーナリストの団藤保晴氏はブログで、「働く高齢者増加は若者の職を奪っている」と批判している。
15~24歳の若者を「最も割を食っている」とし、給与を減らしながらも雇用を維持した60歳以上が「職業経験がない若者の新規雇用を阻んだ」と指摘する。
日経新聞は「働く高齢者が増えれば人口減の影響を補って経済の成長ができるほか、社会保障も安定する」と歓迎する論調だが、団藤氏は「高齢者の視点ばかりでは困ります」と苦言を呈する。
とはいえ、高齢者も「好きで働いているわけではない」という側面も少なからずあるようだ。前述の「中高年縦断調査」で「65歳以降も仕事をしたい」理由にあがったのは、「自分と家族の生活を維持するため」が86.1%でトップ。SNSにも、高齢者が家族からのプレッシャーの強さを嘆く声が見られる。
親の雇用が失われれば、子ども共々路頭に迷う
老政研機構の2010年の調査でも、60~64歳の72.3%が「経済的な理由」と答えている。高齢の大黒柱に、生計を依存している状況がある。
年金支給開始年齢の65歳引き上げの影響も大きく、老後の不安は小さくない。一般的にはバブルを経験し、蓄えもあるイメージだが、実態はさほど楽ではないようだ。
その一方で、若者の雇用不安も大きい。前出の2013年労働力調査(速報)では、15~34歳の若年層人口に占めるフリーターの割合は6.8%と、調査を始めた02年以降で最も高くなっている。
子どもが自分で生計を立てるほど稼げず、親のスネをかじらざるをえない状況では、親も仕事を辞められない。それがさらに子ども世代の雇用機会を奪う、という悪循環になっているのかもしれない。
かといって、「割を食っている」若者のために高齢者の雇用を奪うと、社会保障の負担が大幅に増える上に、スネをかじる子ども共々、家族が路頭に迷ってしまうことも考えられる。どこから手をつけていけばよいのか、悩ましいところだ。
あわせてよみたい:「高齢者の賃金維持」は美談なのか?