文科大臣も踊る「恋チュン」動画　「そんなところに金を使うな！」と大批判

AKB48の公式YouTubeサイトで2月13日、「トビタテ！フォーチュンクッキー　留学JAPANバージョン」という動画が公開された。

しかし、動画が公開された直後から、多くの批判が集まっている。とりわけその理由として挙げられているのが、「お金の使いどころを間違っている」というものだ。

秋元康氏の協力で「替え歌」制作

文部科学省は2020年までに「日本人の海外留学生を倍増させる」という目標を掲げ、官民連携のプロジェクト「トビタテ！留学JAPAN」を2013年10月から始めている。

AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」の替え歌は、このプロジェクトの応援ソングとして、秋元康氏の協力で制作された。

動画では、様々な大学の学生たちが出演する。さらに下村文部科学大臣を始め、「留学促進広報戦略本部」を担当する事務次官や官房長、「日本学生支援機構」の職員たちも、曲に合わせて楽しそうに踊っている。

文科省の調べによると、日本人の海外留学者数は2004年（8万2945人）をピークに減少を続け、最新データの2010年は5万8060人にとどまっている。ここ数年はさらに減っていると思われるが、この動画で問題は解決するだろうか。

ツイッターに見られる視聴者の反応も、かなり辛らつなものが目に付く。

「PV見て留学行くきっかけになるか？　まさに税金の無駄遣い!!」
「AKB雇って動画作るならその金を助成金に回せよ」

この指摘は、あながち的外れとはいえない。ベネッセ教育総合研究所の「大学データブック」（2012年）によると、各大学が挙げた「留学生を送り出すにあたっての課題」の1位は「経済的な問題で留学を諦める学生がいる」で59.7％。国立大に絞ると、この回答率は72.1％にまで跳ね上がる。

タレントのフィフィさんもツイッターで、このキャンペーンを「的外れもはなはだしい」と激しく批判している。

「多くの若者は金さえあれば世界に出て多くを経験をしたいと思ってるよ！で、政府は日本の若者を大事にしてるか？誤魔化すんじゃない！外国人留学生には手厚い制度、正に日本人への逆差別！まずそこから見直せ！」

文科省はこのプロジェクトの主旨を「若者が能力を最大限発揮し高めていくことが不可欠」であり、「日本の若者に広い世界の中で自己研さんを積んでもらうことが何より大切」などと説明している。やはり動画の違和感は否めない。