• 就職先探しにも役立つ? 経産省「グローバルニッチトップ企業100選」が面白い

    大手企業の「内定出し」は一息ついた頃だが、休めないのがまだ内定を貰っていない就活生だ。すでに諦めて「来年もう一回やればいいや」という人もいるが、活動対象を中堅・中小企業に拡げて再チャレンジしようとする人も少なくない。

    しかし悩ましいのが、そういった企業は就職情報サイトに求人広告を出さないところが多く、学生に知られる手段がないこと。そんな「知られざる優良企業」を探すヒントとなりそうな資料が公表されている。それは「グローバルニッチトップ企業100選」というものだ。

    収益性や戦略性、世界市場シェアで「お墨つき」

    (出典:平成25年度ものづくり白書)(出典:平成25年度ものづくり白書)

    グローバルニッチトップ企業(GNT企業)とは、文字通り「ニッチ」な分野ではあるが「世界的なトップ」な位置を獲得しているとして、経済産業省が選定した企業。特定分野の製品などに強みを持ち、高い世界シェアと利益率を両立しながら海外展開をする「知る人ぞ知る優良国際企業」だ。

    経産省が本格的にGNT企業の存在に注目し始めたのは、昨年度のこと。「特定の商品・サービスについて、過去3年以内に10%以上の世界シェアを確保したことのある中小企業」などの条件で募集したところ、2週間あまりで281件の応募があったという。

    さらに応募企業を「収益性」や「戦略性」、世界市場シェアなどの「占有力」や海外売上高比率などの「国際性」といった視点で定量・定性評価を行い、100社にまで絞り込んだ。

    その結果、漁船上で使用される「全自動イカ釣り機」の製造販売で世界市場シェア約7割を占める東和電機製作所(北海道・函館市)や、光ディスクスピンドルモーター用の焼結含油軸受で世界シェア9割を占めるポーライト(さいたま市)、40分の1ミリの超極細糸を活用した衣料織物を製造する天池合繊(石川・七尾市)などユニークな企業が集まった。

    3月には東京・霞ヶ関で表彰式が行われたが、その後もGNT企業への期待は止まらない。政府が6月に閣議決定した「ものづくり白書」では、過去最大の貿易赤字を背景に「輸出力の強化」が重点課題として打ち出され、その新しい担い手のひとつとして「グローバルニッチトップ企業」の育成が重要、と政策的に位置づけられたのだ。

    優良企業も悩んでいる「知名度の低さ」

    「100選」の事務局を務める経済産業省製造産業局参事官室では、GNT企業の特徴は「本業を重視しコア技術を大切にしながら、特定企業との取り引きに安住せず新規顧客の獲得を積極的に拡大している」と分析している。

    汎用品の製造で得た収益を投資に回し、特注品を作れる技術力を高め、国内シェアから海外へ市場拡大をしているパターンもよく似ている。従業員規模は小さいが、仕事はグローバルという会社も少なくない。

    そもそも日本企業の技術力は、実は大企業の内部ではなく下請けの中小企業が保有している部分も多い、ということは以前から知られている。米NASAの基準に合ったロケット部品の製造を、東大阪の町工場が担っているという例もある。

    一方、高い技術力を持つ企業も「人集め」には苦労しているようだ。経産省がGNT企業を対象に実施したアンケートによると、新卒採用・教育の課題として「自社の知名度が低く、応募者が集まりにくい」と回答した企業が31.6%で最も多かったという。

    「採用基準に達する応募者が少ない」と回答した企業(17.3%)を加えると約半数。「無料で地元のハローワークに求人を出すくらいしかない」という企業もあり、能力と意欲のある就活生に対する期待はかなり高いようだ。

    問い合わせの前には下準備をして

    「100選」の内訳は、規模別では大企業 6 社、中堅企業 25社、中小企業 69 社。部門別には機械・加工部門52 社、素材・化学部門20 社、電気・電子部門15 社など。

    ただし、すべての企業で現在求人を行っているかどうかは未確認である。また、収益性や戦略性のお墨つきは得ているものの、労働環境が「ホワイト企業」かどうかは分からない。規模の小さな会社なので、就活生への対応などが大手のように丁寧とも限らない。

    とはいえ、自社の技術とビジネスに高い誇りを持っている確率は、かなり高いだろう。もしも問い合わせをするときには、会社に敬意をもって事前調査を十分に行い、くれぐれも失礼のないようにしていただきたいものだ。

    ※「グローバルニッチトップ企業100選」の企業一覧はコチラから。

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