「大企業」と「ベンチャー企業」の定義って?
転職先の企業選びで、大企業に行くかベンチャー企業に行くか悩んでいる人も多いのではないでしょうか? 会社選びの基準が多様化している現在、先入観に踊らされた会社選びによって後悔はしたくないもの。転職先選びのひとつの基準として、「大企業」と「ベンチャー」の視点を考えてみましょう。
大企業の定義
「大企業」を法的に定義した法律はなく、一般的には「誰もが知っている企業(有名企業)」とほぼ同一の意味で用いられるケースが多いようです。しかし厳密な意味での大企業とは、「中小企業基本法第二条」で制定された中小企業の基準を超える企業となります。それに基づくと、大企業の範囲は以下のように定義づけることができます。
- 従業員300人を超える、かつ資本金3億円を超える会社および個人(製造業・建設業・運輸業・その他の場合)
- 従業員が100人を超える、かつ資本金が1億円を超える会社および個人(卸売業の場合)
- 従業員が100人を超える、かつ資本金が5000万円を超える会社および個人(サービス業)
- 従業員が50人を超える、かつ資本金が5000万を超える会社および個人(小売業の場合)
以上のように潤沢な資本金や人員、生産環境を有している大企業の製品・サービスには、日本の産業を代表する「ナショナルブランド」と呼ばれるものも多数存在しています。その一方で「B to Bの会社である」「広告宣伝を行っていない」などの理由により、一般消費者にはよく知られていない大企業も少なくありません。
また、大企業と似て非なるものに「上場企業」があります。上場企業とは株式市場に自社株を公開(上場)している企業であり、数多くの大企業が「上場企業」に当てはまります。しかし、近年では上場できる条件を備えていながら、経営上の判断で上場していない大企業もあります。また、東証マザーズやジャスダックなど中小・成長企業向けの株式市場も存在するため、一概に「大企業=上場企業」とは言えません。
ベンチャー企業の定義
日本国内において現状(2014年7月時点)、ベンチャー企業の明確な定義はありません。「ベンチャー企業」という言葉自体が英語の「venture(=投機的、冒険的事業という意味)」に由来することから、日本では一般的に「大企業が参入しにくい分野において、独自の技術や製品で事業展開している中小企業」を指す場合が多いようです。
しかし、最近では事業展開や社風、社員の価値観はベンチャー企業に多いタイプでありながら、資本金や従業員数では大企業に分類される「ハイブリッド型企業」も少なくありません。また、ベンチャー企業は一般的に「創業から15年以下(※10年、5年という説もあり)」「社員の平均年齢が20~30代と若い」といった傾向があります。
しかし「江戸時代の創業以来受け継いだ技術による新規ビジネスを立ち上げ、既存にない市場開拓に成功した老舗」もベンチャー企業と呼ばれます。このように、日本国内ではベンチャー企業の定義は多種多様といえるでしょう。
以上の企業に共通する点をまとめると、ベンチャー企業の特徴を以下のように挙げることができます。
- 独自性の高い技術・製品を有している
- 大企業が手を伸ばしていない分野で成長している
- 大企業には難しい創造的・革新的な経営をしている
- 積極的に自社開発を手掛け、新規市場を開拓している
これらの要素を全て満たす企業を、ここでは「ベンチャー企業」と定義することにします。なお、IT関連の企業はすべてベンチャー企業と見なされる傾向にありますが、これも必ずしもそうというわけではありません。