大企業とベンチャー企業の給与の違い
一般的に「大企業はベンチャー企業に比べて賃金が高い」と言われますが、本当にそうなのでしょうか。またベンチャー企業に転職したら低収入となってしまうのでしょうか?
社員規模の多い企業ほど賃金は高い傾向
厚生労働省発表の賃金構造基本統計調査(平成25年度)によると、「企業規模が大きくなるほど賃金も高くなる」という分析結果が見られます(下記グラフ参照)。同調査では30~34歳の年齢を見たとき、常用雇用者1000人以上の企業に勤務する人の平均賃金は約28.8万円ですが、常用雇用者100~999人の企業に勤務する人は約25万円、常用雇用者10~99人の企業に勤務する人だと約24.3万円となっています。
なお同調査では「常用雇用者(※)1000人以上の企業」を大企業とし、「同100~999人」を中企業、「同10~99人」を小企業としています。こちらで定義した大企業(リンク貼ってください)とはやや意味合いが異なりますが、「大企業=給与が高い」という推測を裏付けるデータと見ていいでしょう。
(※常用雇用者=「期間を定めずに、または1か月を超える期間を定めて雇われている者」、「日々または1か月以内の期間を定めて雇われている者のうち、調査期間の前2か月にそれぞれ18日以上雇われている者」)
従業員数が多い大企業に比べて、ベンチャー企業は設立から数年~10数年という会社の割合が多い傾向にあります。従業員数が数名規模~50人未満と少人数経営である場合がほとんどです。
もちろん、LINE株式会社や株式会社サイバーエージェントなど、資本面・企業規模面で急成長を遂げた企業も一部には存在するものの、一般的なベンチャー企業のイメージは「大企業に比べて従業員数が少ない」と見るべきでしょう。以上を総合すれば「大企業の方がベンチャー企業より賃金が高い傾向にある」と推測できます。
ベンチャー企業への転職はハイリスク・ハイリターン
しかし、大企業は賃金の平均額こそ高い傾向にあるとはいえ、一方で個人の能力による金額の差が出にくい傾向があります。従業員数の多さから、給与体系がしっかり定められているからです。従って人事考課による賞与や昇給はあるものの、社員個人の能力や貢献度に見合った給与支給額を決定できないのが一般的です。つまり「個人の頑張りが給与に反映されにくい」ことが、大企業における給与面でのデメリットとなります。
一方、ベンチャー企業は規模が小さい分、給与やボーナスもフレキシブルに対応できます。給与額が個人の業績や貢献度によって大きく変わることも珍しくありません。大企業に比べて実力主義の会社が多いベンチャー企業は「役職につけるほど活躍できれば、同年代の大企業の社員より稼げる」といわれるほどです。
さらにそのベンチャー企業が株式上場をひかえている場合、「ストックオプション制度」を導入している場合もあります。ストックオプションは、主に創業期や株式上場前に貢献した社員に株を与えるものです。会社が上場して株価が上がれば、社員はストックオプションを行使して自社株を売却することで、発生した差額を報酬代わりにもらえるというわけです。
ただし、上場を目指すベンチャー企業の中から、本当に上場できる優良企業はごく一部です。優良ベンチャー企業に転職できても「上場後でストックオプションが付与されない」「評価されず役職につけなかった」などの場合も当然あります。給与面だけで見れば、ベンチャー企業への転職は「ハイリスク・ハイリターン」がつきまとうことは確かなようです。