ルート営業へ転職するには?
営業職は、大きく分けて「新規開拓営業」と「ルート営業」に分けられます。既存顧客を相手にする分、ルート営業のほうが楽だと思われがちですが、ルート営業にはルート営業ならではの厳しさがあり、人によって向き・不向きも異なります。
今後のキャリアを考える際、新たなフィールドとしてルート営業への転職を検討する方もいるはずです。ここではルート営業という仕事について解説しつつ、その現状や向き・不向きなどについてお伝えしていきましょう。
ルート営業って、どんな仕事?
新たな顧客を開拓する新規開拓営業に対して、ルート営業とは既存顧客をフォローアップし、取引の継続、あるいは新サービスの追加購入等を促進する仕事です。
取り扱う商材はさまざまですが、特に定期的な補充・交換・保守が必要な消耗材を扱うことが多いようです。具体的には電話やメール、訪問をベースに定期的なコミュニケーションを取っていきます。取り扱う製品・サービスによっては、技術部門やサポート部門などと連携しつつ、その保守・メンテナンスを行うこともあるでしょう。そのため、営業相手は自社や製品・サービスについてある程度の知識があり、信頼関係も築けている場合が多くなります。
ルート営業の待遇
ルート営業は、平均年収が350~450万円程度です。新規開拓営業と比較して、それほど大きな差があるということはありません。なお、売上度合いによるインセンティブが設けられている企業もあり、成果によって高収入を目指すことも可能です。
リーダーあるいはマネジメントポジションへ昇進すれば、管理者として手当が付くことも少なくありません。なお、営業職という特徴から、パソコンや携帯電話などは貸与されることが多いでしょう。顧客の範囲によっては、出張を伴うこともあります。出張旅費・交通費は支給されますが、持ち出しによる事後精算というケースが多いため注意が必要です。
ルート営業の厳しさ
ルート営業は、既存顧客と長期的な信頼関係を構築していくことが大切です。そのため、常に顧客の状況やニーズを把握していなければいけません。契約を継続してもらうことはもちろん、ときに新たな製品・サービスの提案を行うこともあり、その面では新規開拓営業と同様に基本的な営業スキルが欠かせません。
またルート営業として仕事を始めると、先輩や上司から顧客を引き継ぐこともあります。すでに信頼関係が結ばれている中を担当交代するわけですので、そのプレッシャーは想像以上でしょう。どうしても先輩・上司と比較されてしまいますし、もし契約解消となれば、引き継いでもらった相手の成果を失うこととなります。つまりルート営業が顧客との関係を打ち切られれば、企業にとっては大きな損失となるわけです。営業職としての責任は、とても大きいと自覚しておきましょう。引き継ぐ際には現状や顧客概要のみならず、相手側の担当者の性格、過去の経緯など深く掘り下げて把握しておくことも大切です。
どんな人がルート営業に向いているか
何よりも良好な信頼関係を構築するコミュニケーション能力が欠かせません。例えば「どんどん新たな提案していきたい」というタイプは、ルート営業に不向きです。じっくりコミュニケーションを取りながら関係を築き、適切なタイミングで提案等を行う。計画的に営業活動を進められる人にこそ、ルート営業は向いています。
また、長く顧客と接するということから、自らもレベルアップしていくことが必須です。それは営業スキルのみならず、例えば情報収集についても同じこと。「用事がなくても顧客にとって役立つ情報があればすぐに共有する」、「競合他社の新商品は常にチェックする」といったように、最新ニュースやトレンドなどにアンテナを張っておくことが大切です。マーケティング的な素養のある方には、適した仕事と言えます。
ルート営業には、新規開拓営業とは異なる難しさ、厳しさ、そして適正があります。イメージではなく実態をしっかり捉えることで、自身のやり方や方向性に合致しているかをよく見極めてください。それでも「やってみたい」と思えるならば、ルート営業への転職を踏み出すのも1つの道と言えるでしょう。(ライター:ナレッジ・リンクス/三河賢文)