IT業界の営業へ転職するポイント
スマホからパソコン、電化製品、自動車まで、今や私たちの生活に欠かせないものとなったIT。しかしIT業界の仕事は、外部から見ると分かりにくく感じるかもしれません。これは営業職にとっても同じこと。IT業界での営業職に興味はありながらも、「何を売るのか」「どうやって売るのか」という実態がわからないという方は多いでしょう。
ここではIT業界における、営業職の仕事について詳しく解説します。自分にとって転職先の選択肢となり得るのか。現時点で抱いているイメージとの相違がないかなど、確認してみてください。
商材大きく分けて3種類ある
IT業界と言っても、技術者派遣やパッケージサービス開発、あるいはシステム開発など、営業する商品は多岐にわたります。ここでは3つに分類し、それぞれの特徴を見ていきましょう。まずは仕事内容を理解することが、IT業界の営業へ転職するうえでの第一歩です。
1. 技術者派遣営業
自社の抱えるITエンジニア(=社員)を、それを必要とする他社へ派遣します。ただしこれは、いわゆる人材派遣ではありません。人材派遣が雇用関係のない登録スタッフを派遣するのに対し、この場合は、雇用関係にある社員を派遣する“特定派遣”と呼ばれるものです。
技術者派遣の営業職では、IT人材を必要とする企業にアプローチし、必要な技術や人数等をヒアリングします。プロジェクト単位などで人材を必要とされるケースが多く、その場合にはあらかじめ期間が定められます。プロジェクトが完了したら、ITエンジニアを派遣するために新たなプロジェクトでのニーズを確認するのも大切な役割。そのため、新規営業はもちろん、既存顧客のフォローも少なくありません。
2. システム開発営業(SES営業)
在庫管理システムや顧客管理システム、経理システムなど、多くの企業が各種業務で使用するシステムを導入しています。これらはもちろん、IT企業が開発したものですが、このシステム導入についての営業をおこないます。
企業によってどんな機能が必要か、どんな仕様にするのかが異なるので、営業職はそのニーズを聞き取り、クライアントに適したシステムの企画、ハードウェア等の導入、あるいは開発後の保守・管理などを提案します。実際の開発はエンジニアがおこなうため、状況によっては営業段階からエンジニアを同行させることもあるでしょう。なお「漠然としたイメージしか持てていない」「すでに細かな要件がまとまっている」など、企業側の準備状況に応じて営業職の提案レベルも変わってきます。
3. パッケージサービス営業
自社でソフトウェアなどのパッケージソフトを持っている場合、営業職はそのソフトウェアを販売します。企業ごとにゼロから開発・導入するシステム開発営業と異なり、既存の製品を営業するかたちになるので、物販営業に近いと言えるでしょう(ただし、導入時に細かなカスタマイズをおこなうこともあります)。自ら企業へ提案するほか、ソフトウェアを販売してくれる代理店の開拓を行うことも少なくありません。また、販売後のフォローアップを担う場合もあり、その役割は企業によって異なります。
最低限のITリテラシーを身につけよう
IT業界では営業職といえども、最低限のITリテラシーが求められるでしょう。提案時に相手より知識レベルが低ければ、「この人は本当に分かっているのか」「適切な開発と導入がおこなえるのか」と懸念を抱かれてしまいます。
自社の製品・技術に関する理解は当然のこと。例えばシステム開発であれば、その仕組みや開発フロー等についても把握しておく必要があります。また、自社内の業務管理にもITサービスを導入している場合が多く、それらの操作は業務を円滑に進めるうえで欠かせません。
IT業界といっても幅広く、他にもインターネット広告やWEBマーケティングなどのWEB系企業において営業職が多く活躍しています。しかし営業職として“コミュニケーション能力”がキーポイントとなることは、他業界と変わりません。異業界からの転職であっても、その経験・能力は十分に生かすことができるでしょう。しっかりと業界研究・企業研究を行い、仕事内容を理解したうえで転職活動を進めてください。(ライター:ナレッジ・リンクス/三河賢文)