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    「外資越境転職」とは何か?東南アジア系企業で働くこと

    昇進グローバル化が進む世界では、日本人のキャリアの選択肢が大きく広がっています。中でも、国境を超えて外国企業で働く「外資越境転職」は、低成長下の日本で注目を集めています。

    特に「東南アジア系企業」は高い経済成長を遂げており、日本人にとってキャリアチャンスを提供する最前線です。今回は「外資越境転職」の実像や、特に東南アジア系企業で働くことのメリット・デメリットについて解説します。

    「外資越境転職」とは何か?

    「外資越境転職」とは、日本を離れ、海外の外資系企業(外国企業)に直接採用される転職形態を指します。外資系企業の日本拠点で働きながら海外展開に関わる形態とは異なり、現地の社員として活動することで、現地のスピード感やダイナミズムを直接体験できるのが特徴です。

    特に東南アジア系企業では、日本人の持つ専門性や文化的な知見が高く評価されています。これには、現地ビジネス環境の調整役としての能力や、日系企業との連携促進が含まれます。

    ベトナムやインドネシアでは、日本企業との協力を進めるために日本人の採用が積極的に行われています。現地での業務は、プロジェクトマネジメントや市場戦略の立案といった中核的な役割を担うケースが多いです。

    「外資越境転職」が増える背景

    「外資越境転職」が増えている背景には、以下のような要因があります。

    1.東南アジアの高経済成長

    東南アジアの諸国はGDP成長率が高く、製造業やサービス業など多岐にわたる分野で急速に発展しています。例えば、インドネシアではデジタル経済の成長が著しく、フィンテック企業が続々と立ち上がっています。タイやフィリピンでは観光業やコールセンター業務が成長を牽引しています。

    2.円安と日本の低成長率

    円安が進む中、日本国内での成長機会の減少に直面している人材が、海外でのチャンスを求める動きが広がっています。円が高かった時期には、国内の待遇との差が大きく、海外で就職するメリットが薄かったのですが、状況が変わりました。日本よりも経済成長が期待できる市場でのキャリア構築が、新たなトレンドとなっています。

    3.現地における日本人の需要

    東南アジアの外資系企業では、日本市場の専門知識を持つ人材が必要とされており、日本人はその役割を担うことが期待されています。例えば、製造業では品質管理やプロジェクトマネジメントで日本人の強みが発揮されています。

    4.デジタルツールの進化

    コロナ禍以降、リモートワークが一般化し、海外企業との接点が増えたことで、「外資越境転職」への心理的なハードルが下がっています。オンライン面接やリモート業務を通じて、国境を超えた採用が容易になりました。

    「外資越境転職」のメリット

    「外資越境転職」の経験者は少ないですが、選択するメリットはあります。

    1.高成長市場での経験

    急速に成長する市場で働くことで、グローバルな視点を養いながら新たなビジネススキルを習得できます。なお、社会インフラの整備や運用などは、先進国である日本のノウハウが活かせる可能性があります。

    2.異文化経験と人脈構築

    多国籍チームでの業務を通じて、異文化理解力が向上し、国際的なネットワークを構築できます。現地で培った人脈は、将来のキャリアにおいても大きな資産となります。一方、日本法人で働くことは、外資であっても外国語を使う機会が少なかったりするなど、異文化経験が積めない可能性があります。

    3.キャリアアップの可能性

    実力次第で昇進や重要なプロジェクトを任される機会が多く、比較的短期間でキャリアアップを実現できる可能性があります。日本では年功序列でなかなかチャンスが回って来ないと悩む人には、いい選択肢になりえます。

    「外資越境転職」の留意点

    一方で、「外資越境転職」を選択する上では準備も覚悟も必要です。

    1.生活面でのハードル

    現地の言語や文化に適応するには時間がかかる場合があります。特に、医療や安全面での課題は、事前に十分な準備が必要です。

    2.労働環境の違い

    日本と比べて、福利厚生や労働条件が整っていない場合があります。例えば、労働時間の長さや契約内容に関する透明性が課題となることがあります。

    3.キャリア再適応の難しさ

    現地特化型のキャリアは、日本に戻った際に活かしにくい場合があります。日本での再就職を見据えたキャリア設計が必要です。

    日本拠点との違い

    東南アジア系外資企業の日本拠点で働くことと、現地採用で働くこととの違いは、以下の点で明確です。

    1.普通の外資転職(日本拠点採用)

    日本市場を中心とした業務に従事し、現地拠点との連携が主な役割となります。例えば、日本国内での営業活動やマーケティング施策の推進が中心となり、日本の労働法に基づいた安定した雇用環境が特徴です。

    2.外資越境転職(現地採用)

    現地市場の成長を直接体感し、現地のビジネス文化に適応しながら業務を遂行します。例えば、現地拠点での経営戦略策定や市場調査を担当し、多国籍な環境で働くことでグローバルな視点を養うことができます。

    普通の外資転職は期待外れ?

    エンワールド・ジャパンの調査によると、外資系企業未経験者に「外資系企業で求められる英語レベルのイメージ」を聞いたところ、「上級以上・ネイティブレベル」と答えた人の割合は全体の35%を占めました。

    一方、外資系企業の従業員に、勤め先で実際に必要とされる英語レベルについて質問したところ、「初級・中級レベル」と答えた人が全体の48%を占めたそうです。

    外資系企業の日本拠点への転職を果たしたものの、思ったより英語を使ったグローバルな体験が得られないとガッカリしたという人も少なくありません。

    その点では「外資越境転職」は、日本国内では得られない経験や成長の機会を得られる点では魅力的な選択肢となりそうです。ただし、生活や労働環境の違い、キャリアプランの調整など注意すべき点もあるでしょう。

     

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