外資系企業への転職、企業選びの3つの視点
転職先として外資系企業を候補に入れる際、日系企業にはない視点で企業を比較・検討する必要があります。具体的には、以下の3つの視点が必要です。
- その企業の国籍
- 日本拠点の位置づけ
- 企業文化にコミットできるか
以下でそれぞれを個別に解説していきましょう。
1. その企業の国籍
外資系企業のおもな特徴はこちらで述べた通りですが、これらは特にアメリカ企業に当てはまるものであり、すべての外資系企業に当てはまるわけではありません。例えば欧州系(イギリス、フランス、ドイツなど)企業は、アメリカ企業よりもワークライフバランスを重視する傾向があります。また、韓国系企業は日系企業と同じように年功序列も大切にします。企業の国籍によって企業文化に細かな違いがあり、それによってあなたの働き方も変わってくるので、本国の国籍には注意が必要です。
2. 日本拠点の位置づけ
例えば日本国内の売り上げがグローバルで上位にある場合、日本拠点の重要度は高まります。本社に対して「日本ではこういうやり方が有効だ」などと意見できるようになりますし、日本拠点で働くことが有力なキャリア形成につながるでしょう。
逆に日本拠点の発言力が弱い場合、経営方針や業務の進め方は本国の意向に強く左右されるでしょう。また、出世できても“本国の御用聞き”で終わる可能性もあります。キャリア形成にも大きく影響するので、本国にとって日本拠点がどのように位置づけられているか、しっかり見極める必要があります。
3. 企業文化にコミットできるか
グローバルに活動している外資系企業には「何でもいいので、とにかく御社で働かせてください」という志望者が多く応募してきます。しかし、面接官はこのような“あこがれで企業を選ぶ人”を最も避けたがります。こうした人は、実際に働いてみると「イメージと違う」という理由で辞めることがよくあるからです。
それよりも面接官が採用したいのは、自社の社風や働き方についていける人。そのため、その企業の文化にコミットできるかどうかを見極めることが、日系企業への転職以上に重要といえます。
会社売上や業界動向を見極めることも大事
経済産業省の外資系企業動向調査(平成23年度)によると、主要な業界における外資系企業の2010年・2011年の経常利益は下記のグラフの通りでした。
見ての通り、生産用機械と電気機械、小売業は利益が大きく落ち込んでいます。当然、新たな人材を採用する金銭的な余裕も少ないと想像できるでしょう。逆に、医薬品や卸売業、サービス業、情報通信業では高い利益が上がっていますから、人材採用に関しても積極的であることが予想できます。
もちろん、最終的には自分が働きたい会社を選ぶことがベストですが、外資系企業の場合、日本で利益が上がらないと判断されれば撤退する可能性もあります。転職が決まった直後に本国が日本から引き揚げを決定…といった事態も考えられますから、利益がしっかり上がっている業界・企業へ転職することが“外資系企業で長く働き続けるコツ”でもあるのです。