「2015年問題」への心構え
エンジニア不足と言われる中、追い打ちをかけるように「2015年問題」という言葉が聞かれるようになりました。すでにこの問題に関連するプロジェクトに携わっている方もいるでしょうし、これから関わる人がいるかもしれません。この2015年問題は、ITエンジニアにとって見逃せない問題です。
2015年問題とは
2014年〜2017年までの間で大規模開発がいくつも重なっており、現在以上に深刻なITエンジニア不足が予想されています。以下の4つが特に大きい開発プロジェクトとされています。
- ・みずほ銀行システム刷新
- ・マイナンバー制度に伴うシステム改修
- ・かんぽ生命保険システム刷新
- ・電力小売自由化に伴うシステム開発
短期的な視点で見れば、市場を活性化させるプロジェクトとして魅力的かもしれません。しかし、開発規模が大きいため開発期間は年単位になり、しかも必要な人数は数万人に上ると言われています。個々のITエンジニアにとってみれば悩ましい問題であることも確かです。
予想される問題
2015年問題で具体的にどのようなことが懸念されるのか、ここでは4つ解説していきましょう。
1.人材不足を補うために二重派遣や長時間労働が強いられる
上記の開発が重なることで、ピーク時には上流から下流まで数万人規模の開発が発生すると言われています。ただでさえエンジニア不足が叫ばれていますから、人材の確保が非常に困難になるでしょう。人材不足を補うために長時間労働や二十派遣のようなルール違反を犯す企業が出てくるかもしれません。
2.新人の採用が急増する
人材不足を補う対策として、新人が配属されることもあります。しかしその場合は先輩エンジニアが仕事のやり方から教える必要がありますし、教育・研修にも時間を割かなければいけません。配属される新人の人数によっては、フォローが必要な場面も増えます。自分1人の業務量をコントロールするだけでは仕事が上手くいきません。
3.今までは採用されなかった人でも、同僚として働くことになる
例えば、スキルやコミュニケーションに難があり採用されなかった人材が配属されるケースも出てきます。苦手なタイプの人と一緒に働くケースも増え、仕事がやりにくくなることもあり得るでしょう。
4.開発終了後に多くの余剰人員を抱えることになる
2015年問題に対応するために人員を増やした場合、企業としては開発終了後に余剰人員を抱えることになります。またエンジニア自身にとっても、仕事がない状態が起きる可能性が考えられます。次の仕事がなければ、エンジニアとしての経験も積めません。また、会社にとっても給与が負担となる可能性があります。
個々のITエンジニアとしての準備・心構え
ITエンジニアとして、大規模プロジェクトに参加する可能性は少なくありません。また、今後新たな大規模プロジェクトに参加する機会もありえます。しかし、参加が決まってから準備するのでは時間が足りません。参加が決まる前に、準備や心構えを整えておいてください。
以下に、大規模プロジェクトにおける準備・心構えを紹介しておきます。
- ・派遣法や残業について知り、違反があれば社内の相談窓口などに相談する
- ・コーチングなど人に教える、指示する能力を磨く
- ・新しいメンバーと積極的に交流する
- ・人員計画について議論するなど公開をお願いする
これらのことは、ITエンジニアとしての技術的なスキルとは異なります。また、大規模プロジェクトに関わらず、通常のプロジェクトでも活用できることです。
2015年問題で特に影響を受けるのは下請け企業です。中には、振り回されると感じる人がいるかもしれません。このようなプロジェクトに疑問を感じる人は、転職を検討するのも1つの方法でしょう。(ライター:ナレッジ・リンクス/原 進)