今から気を付けたい“働く女性のうつ病”
誰にとっても当たり前のものになった職場での“心の病”。中でもうつ病は「心の風邪」といわれるほど、誰もがかかる可能性のある病です。特に、働く女性のうつ病は増加傾向にあり、男性よりも2倍近い患者数がいるといわれています。
うつ病になると、毎日の仕事にも支障をきたしやすくなるだけでなく、転職やキャリアアップにも大きな影響が出てしまいます。自分自身でうつ病にならないように日ごろのチェックが必要でしょう。
なぜ働く女性はうつ病に気を付けるべきなのか?
感情のコントロールには、女性ホルモンのエストロゲンと神経伝達物質のセロトニンが関係しています。このセロトニンは感情の起伏を鎮める、気持ちを明るくするなどの役割を果たします。
しかし、女性のセロトニン分泌量は男性よりも少なく、さらに月経前はホルモンのバランスが崩れます。この時、セロトニンも日頃よりもさらに減少してしまうため、イライラしたり落ち込みがひどくなったりするのです。つまり女性は男性よりも一般的にストレス耐性が弱く、感情の安定を保ちにくいといえるのです。結果的に、うつ病にもなりやすいといえるでしょう。
また、女性の置かれている環境もうつ病を誘発する原因になっているといわれています。仕事でクタクタになって帰宅しても、家事や育児に追われて休む暇がなく働いて心身のバランスを崩してしまう方が少なくないのです。一人で何役もこなすことがプレッシャーやストレスにつながってしまうのです。
仕事や日常生活でこんな症状が出たら黄色信号!
仕事や日常にこんな症状が出始めたら、ストレスが蓄積してうつ病へとつながりかけているサイン。ご自身の状況を注意して振り返ってみてください。
【仕事】
- ・会社に入る、オフィスに足を踏み入れる際に不安や苦痛を感じる
- ・同じことを何度言われても頭に入らなくなってしまう
- ・オフィスにいると頭痛や背中、首の痛みが酷くなる
- ・単純作業でミスが続く
- ・言葉が出なくなる、思考がまとまらなくなる
ストレスが慢性化して、精神的な負担が身体に現れてくるようになると、頭や首に痛みが生じます。また、これまでなかったような業務上でのつまらないミスが多発したり、上司から注意を受けているときに意識が遠のくなど集中力低下の症状が出たりするケースもあります。
【日常生活】
- ・睡眠に問題が生じる(眠れない、途中で目が覚めるなど)
- ・朝起きられない
- ・好きなことや趣味に興味がなくなる
- ・何をしていても気持ちが晴れない
- ・食欲不振、食欲過剰
- ・性欲低下
- ・死にたい、消えてしまいたいなどを高頻度で思う
睡眠欲、食欲、性欲など人間の根本的にそなわっている欲求が減退していくのが特徴です。また、通常の気分の落ち込みであれば、気晴らしや趣味に没頭するとリフレッシュできるものですが、うつ症状が進むと、自分が好きだったものにも興味を持てなくなってしまいます。休日になれば元気になったのに、最近は土日も外に出る気力がなく疲れている…という方は注意してみてください。
こんな女性は特にうつ病への注意が必要!
どんな働く女性でもうつ病になる可能性はあります。しかし、性格的にうつ病になりやすい傾向もあるようです。
・完璧主義の人
・他人の評価が気になる人
・環境の変化に馴染みにくい人
・気分のON・OFFができない人
・細かいことが気になって引きずってしまう人
完璧を求めたり、仕事とプライベートのON・OFFができなかったりすると、ストレスをため込んでいってしまいます。また、他人の評価を気にし出すと、自分の存在価値も疑い初め、疲れが溜まっていってしまいます。転職によって環境が変わると、こうした性格がマイナスに働く可能性がありますので、自分の性格をきちんと把握した上で、ストレスケアをしていきましょう。
仕事と同じくらいに心身を休ませることは重要です。もし上記の症状に当てはまるようなことがあれば、早めに対策を講じることが大切です。「おかしいかも」と思ったら、下記のような専門機関に恥ずかしがらずに相談しましょう。
厚生労働省