働く女性が出世すると何が変わる?
近年、女性管理職を増やそうという動きが日本社会で広がっています。背景には女性らしいビジネス感覚の活用や少子高齢化などによる労働力の減少などがあると考えられます。今後は、男性のみが担ってきたような業務を、女性も同等に任されるようになると考えられるでしょう。
では、当の女性たちにとってはどうなのでしょうか。男性と同じく、女性の中にも、出世してしっかり稼ぎたいと考える人、家庭を優先させたい人、プライベートの時間を重視したい人など、さまざまなタイプがいるはずです。女性が管理職になることで何が変わるのか、メリット・デメリットを考えてみましょう。
女性の出世意欲
社会全体では女性の管理職を増やそうという動きが進んでいますが、当の働く女性たちはあまり乗り気でない場合も少なくないようです。公益財団法人日本生産性本部が2014年度の新入社員にアンケートをとったところ、女性の新入社員の72.8%が「管理職になりたくない」と答えたことが発表されました(2014年12月22日公表)。
その理由としては、「長時間労働でワークライフバランスが取れそうもない」、「自分には向いていない」、「役割(責任)に見合っただけの報酬が得られそうもない」、「ロールモデル(目標)となる女性管理職がいない」などの回答が出されています。
出世することのメリット・デメリット
では、実際に女性が出世することでのメリットとデメリットについて考えていきます。
【メリット】
- 報酬が上がる
- 責任ある立場に立てる
- 自分のしたい仕事を実現できる
企業での立場が上がれば報酬が上がることは、ほぼ間違いありません。また、仕事自体が充実するということも考えられます。自分の裁量で行える業務範囲も増え、判断を任される場面も多くなっていくでしょう。「OLはお茶くみと事務が仕事」といった価値観から脱したい女性、「マネジメントされるよりも、自身がマネジメントをしたい(向いている)」という女性にとっては大いにプラスであると言えそうです。自分のしたい仕事もその広がった裁量の中から見いだせるでしょう。
【デメリット】
- 自由に使えるプライベートの時間が減る
- 家庭の両立が難しくなる可能性がある
- 男性社員との折衝が難しい
一般社員ですら働きすぎが指摘される日本社会ですから、管理職になればさらにプライベートの時間が少なくなっていくと予測されます。趣味や社外交流、恋愛などに使っていた時間が制限されて、仕事に費やす時間が増加する可能性は高いです。また、家事・育児・介護などを担いがちな女性にとって、仕事の時間が増大することはそれら家事労働との両立が難しくなることを意味します。配偶者やパートナーとの協力がなければ、育児や介護の時間確保に悩む可能性があります。
また、女性管理職ならではのこととしては、部下が男性ばかりになるとマネジメントがしにくくなるという悩みもあるでしょう。周りが男性管理職ばかりでやりづらさを感じている女性も少なくありません。
女性が出世することで働き方はこう変わる
出世によって、男性社員と同じく、報酬や仕事の充実度は増すでしょう。一方で、現在女性管理職となっている多くの女性が未婚であったり子どもを持っていなかったりする、という現状もあります。すなわち、管理職業務と家庭の両立がまだまだ難しいということの表れなのです。現段階では、女性が管理職になる場合には、仕事とプライベートを天秤にかけることも想定しなければいけないでしょう。
もちろん、女性の管理職が増えることで、後進の女性たちがどんどん働きやすくなっていくとは考えられます。海外では、時短勤務の管理職や、在宅勤務を管理職でもできるようなシステムを多く取り入れています。このような制度化が進めば、プライベートを犠牲にすることなく管理職として活躍することもできそうです。(ライター:香山とも)