改めて知りたい産前・産後、育児期間の休業制度
産前・産後、その後の育児について、休業制度があることは知っていても、どれくらいの期間休めるのか、どうやって申請するのかなどあまり詳しくは知られていません。初産の場合ならば、何もかもが初めてとなるので戸惑ってしまうことも多いでしょう。働く女性がいざ妊娠したときのために、改めて知っておきたい産前産後休業、育児休業の詳細について紹介します。
産前産後休業について
産前産後休業はいつから取得できるか把握しているでしょうか? これまで同僚がかなり大きなお腹で出勤している姿などを見て、「いつから産休に入るのかな?」などと思ったことがあるかもしれませんね。
産前産後休業は、母体保護の観点から、出産予定日の6週間前から出産日の8週間後まで取得することができます。またあまり知られていないことですが、双子など多胎妊娠の場合は出産予定日の14週間前から取ることができます。産前産後休業は、妊娠しているすべての女性従業員が対象です。つまり、正社員だけでなくパートやアルバイトの女性も取得することができます。
産前産後休業は、労働基準法により保障されている労働者の権利です。母体の保護のためには欠かせない制度といえます。そのため、たとえお勤めの会社の就業規則に明記されていなくとも、休むことはできますので安心してください。
なお、女性を雇っている事業主は産前産後休業中やその後30日間は、妊娠出産中の女性を解雇してはならないこととなっています。復帰できる職場が保証されている状態で出産に臨めるよう整備されているのです。
産前産後休業の申請方法
産前産後休業をどのように申請したらよいのでしょうか。まず、産婦人科の診断で妊娠していることがはっきりし、安定してきた頃に、直属の上司に妊娠について報告しましょう。先に同僚などに伝えてしまうと、上司が“また聞き”する危険性も出てきてしまうので注意が必要です。
上長との相談の中で、産前産後休業や育児休業について確認していきます。産前産後休業の申請は、社会保険料などの手続きも必要であり、勤務先に書類を提出する必要が出てきます。その書類により、企業が申請を代行してくれることが一般的です。産前産後休業と社会保険料の手続きに必要な書類として、母子健康手帳、印鑑、保険証、通帳などが求められることが多いようです。人事部などに事前に確認をし、計画的に手続きを進めていきましょう。
育児休業について
混同されがちですが育児休業は、子どもが1歳に達するまでの間に取得することができる休暇です。なお、保育園に入れない場合などは、子どもが1歳6か月になるまで取得できることとされています。また、父・母のどちらでも取得することができます。なお、規定の条件を満たした期間雇用の方(契約社員等)も取得できることとされています。
育児休業は、労働者の権利として法に定められているため、企業の就業規則に明確な規定がない場合でも取得することができます。また、産前産後休業と同様に育児休業を取得したことを理由に、不利益な解雇などの処遇を行うことは禁止されています。
産前産後休業と育児休業の違い
ここで、産前産後休業と育児休業の違いを整理してみましょう。出産を挟んだ産前産後の期間に取得するものが産前産後休業です。また、育児休業は産後休業終了後に取得する休業です。
対象者の違いについて言うと、産前産後休業は、すべての女性労働者が対象です。パートやアルバイトなどの労働者の方も広く取得できることとなっています。一方で、育児休業は1歳未満の子の育児にあたる父母の両方が取得できます。当然といえば当然ですが、産前産後休業が女性だけなのに対して、育児休業は男女ともに取得できるのです。一見幅が広そうな育児休業ですが、女性労働者の中でも雇用期間が1年未満の方や子どもが1歳を超えても復帰の意志がない方などは取得できない規定となっています。
いずれの場合でも、事業主への相談は必須。休業開始期間をきちんと踏まえて計画的に上司や人事部への申請を進めていきましょう。(ライター:香山とも)