主婦の復職を助ける「主婦インターン」のメリット
子育てがひと段落した主婦が復職したいと思っても、「仕事の勘を取り戻せるか」、「ブランクがあるのでいきなりフルタイム勤務は大丈夫だろうか?」、「今の生活に合った仕事が見つからない」などの不安を抱える方は少なくありません。こうした主婦の復職支援の一環として、「主婦インターン(ママインターン)」が注目されています。その概要や成立の背景、メリットなどをお伝えします。
「主婦インターン」とは?
別名「ママインターン」とも呼ばれる主婦インターン制度。これは、2013年からスタートした中小企業庁のリードする国の制度です。「中小企業新戦力発掘プロジェクト」といわれ、結婚や子育てによりいったん仕事を離れた主婦が仕事に復帰しやすいよう、インターンとして企業で働ける制度です。このインターン制度により、少しずつ仕事に慣れることができ、復職のハードルが下がります。
一般的な大学生のインターン制度は、無給の場合が多いです。しかし、主婦インターンの場合には、「中小企業新戦力発掘プロジェクト」から助成金が出るため、給料を得ながら働くことができます。
また、通常勤務ではなく、あくまでインターンなので、時短勤務としたり、週3日間の出勤としたり、無理なく働き始めることができます。ブランクがありフルタイムで働くことができるか不安な主婦の方でも、ハードル低く働き始めることができます。これまで3000人以上がインターンを経験し、そのうちの50%程の方が就職することができたといわれています。
中小企業庁が主導するもののほか、NPO法人が受け入れ先企業と提携しながら独自の主婦インターンプロジェクトを実施している例もあり、主婦がスムーズに復職を目指せる制度として少しずつ広がりを見せています。
「主婦インターン」登場の背景
なぜ、「主婦インターン」制度が登場したのでしょうか。それは、一度主婦になってしまうと働く女性として復帰しにくいという背景があるからです。家庭や子ども中心の生活をしている女性は、職場に復帰できるか大変不安です。そこで「ならし運転」とも言える、この主婦インターンの需要が高まったのです。
さらに、外的な要因としては、フルタイムで働けるほど長時間子どもを預かってもらえる場所がないという問題や、専業主婦から一気に転身して社員として働くことには家族の理解が得られないなどの問題もあるようです。また、インターンとして少しずつ職場経験をすることで、雇用する会社側のリスクも軽減できるでしょう。
「主婦インターン」のメリットとは?
では、主婦インターンにはどのようなメリットがあるのでしょうか。大きく5つあると考えられます。
(1)“仕事の勘”を少しずつ取り戻せる
インターンとして、少しずつ慣らしながら働いていくことでブランクを埋めていくことができるでしょう。パソコンや業務用ソフトの使用方法などは、短期間、仕事を離れるだけでも周囲と差をつけられてしまう可能性があります。こうしたスキルの差を埋める期間としては、インターンはよい機会となるでしょう。
(2) 給料をもらえる
自分の働きに対して正当な対価が支払われることは、自信になるものです。しばらく会社で働いていないということに不安を抱えていた方も、給料をもらえる働きができたということはプラスになるでしょう。大学生のインターンと違い、給料があることは大きなメリットです。
(3) 職場の雰囲気を知り、就職の可能性も広がる
インターンを受け入れている企業は労働力を求めているので、インターンの女性と企業側の要望がマッチすればそのまま正社員として勤務することができます。就職前に職場の雰囲気を知れることはメリットといえるでしょう。
(4) 保育園の申し込みをしやすくなる
「外で働いていないと、なかなか保育園に入れない」というお母さま方の嘆きをよく耳にします。しかし、インターンで働いているということを証明できれば、「仕事がある」と見なされて、子どもを保育園に預けやすくなります。
(5) 企業側が金銭的負荷なく人材確保ができる
主婦インターンの給料は、中小企業庁の補助金から出されているので企業側はコスト負担なくインターンを受け入れることができます。もちろん、インターンとして適性を見極めたのち、正社員として正式に雇用することもできますから、人材確保の手段としても役立つでしょう。
今後、労働者人口の減少にともない、主婦がより復職しやすい環境を作り上げていく必要があります。こうした中で、主婦にとっても企業にとってもメリットのある主婦インターンは、さらなる活用と普及が望まれるでしょう。(ライター:香山とも)