女性がITエンジニアとして働くメリット&注意点
IT業界での人手不足が進む中、男性中心といわれてきたIT業界においても、ITエンジニア(SEやプログラマ)として働く女性が増えてきました。「手に職がつけられる」「人間関係がほどよくドライだ」といったメリットがある一方、残業の多さなどの注意点もあるようです。女性がITエンジニアとして働くメリットと注意点をご紹介します。
女性ITエンジニアの現状
「2015年労働力調査」の結果によると、情報通信業の女性の割合は213万人のうちの54万人だそうです。その中で、ITエンジニアになるとさらに人数は減り、21万人ほどではないかと推計されています。まだまだエンジニアの女性の割合は、全体的には少ないですが、以下のような背景から女性エンジニアも少しずつ増えつつあります。
・プログラミングについて学びやすくなった
専門学校や通信教育、職業訓練などでプログラミング講座などが多く開講されるようになりました。また、2020年には小学校でプログラミングが必修化されますが、誰でもプログラミング知識を身につけられるツールが開発され、エンジニアへのハードルが下がっています。
・求人数の多さ
どこの会社も優秀なエンジニアを求めている時代なので、プログラミングスキルさえあればかなり就職・転職に有利だと考える女性が増えました。新卒社会人をゼロから教育する企業も増えつつあります。
・自由な働き方への意欲
ITエンジニアは、基本的にパソコンとネット環境さえあれば、どこでもできる仕事です。在宅勤務、時短勤務、ノマドワーカーなど場所や組織にとらわれない働き方を希望する女性が増えたことで、ITエンジニアを目指す女性も増えています。
なお、SEやプログラマーとして働く人は、必ずしも理系出身というわけではありません。文系からエンジニアになる女性もいれば、違う職種から転職してきた女性も多く存在します。
女性がITエンジニアとして働くメリット
では、女性にとってITエンジニアとして働くことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
・手に職をつけられる
プログラミングを身につけることができるので、多くの会社で求められるスキルを得られます。また、出産などで職場を離れたとしても、エンジニア関連の求人は多いため、再就職しやすいというメリットもあります。
・会社にとらわれずに働くことができる
どこでも働くことができるので、正社員にこだわらなくても、フリーもしくは業務委託として自宅やカフェなどで働くことができます。そのため、人間関係にわずらわされたり、満員電車で通勤したりする労力がなくなります。
・女性が少ないので優遇される
IT業界にはまだまだ女性が少ないので、女性の視点が求められたり女性ならではの気配りがありがたがられたりします。女性向けのネットサービス、女性向けのスマホアプリなどの開発時には、その意見が採用されることも珍しくありません。
・顧客先で女性エンジニアの方が重宝がられることも
エンジニアは顧客先に派遣されることも多い職業ですが、その際、まだ社会的に少ない女性エンジニアが重宝がられることがあります。女性が多い派遣先であったり、女性向けのアプリケーションの開発スタッフであったりする場合には、女性である強みを生かすことができるでしょう。
女性がITエンジニアとして働く注意点
一方で、女性だから苦労するということもあります。どんなことに注意をすればよいのでしょうか。
・多忙すぎて心身が疲労する
まだまだエンジニアは人手不足なうえ、緊急時には24時間対応し続けなければいけないケースもあります。そのため、残業時間が他の職種よりも多いことが少なくありません。会社によっては、プライベートの時間がなくなってしまったり、過重労働になってしまったりすることもあるようです。
・女性の管理職が少ないため、理解されない
エンジニアという職種に女性が多く就き始めたのは、最近のこと。そのため、女性管理職はほとんどいません。キャリアモデルがいないことや、女性としての自身の境遇を理解してもらいづらいなどの注意点もあるでしょう。
・技術が劣るのではないかと先入観を持たれる
これまで男性がほとんどの業界でしたから、「女性で技術面は大丈夫?」と先入観を持って見られることがあります。また、「理系的な職業=男性」というイメージもまだはびこっているため、厳しい視線を向けられることもあるようです。
このように、まだ注意点もある女性のエンジニア職のキャリア。しかし、IT業界全体で待遇改善に乗り出している機運もありますし、何よりも、社会に求められていることから今後も一層増加していくことが見込まれます。ITエンジニアが、女性にとっても働きやすい職業となっていくことが望まれるでしょう。(ライター:香山とも)