Webデザイナーがこの先10年を生き残るために必要なスキル
一部では、「勉強をすれば誰にでもなれる」という風潮のあるWebデザイナー。しかし昨今のスマートフォンやHTML5の登場によって、求められるスキルも変わってきています。さらにフラットデザインやレスポンシブウェブデザインなどのように、明らかなデザインのトレンドの変化も見られます。
つまり他のクリエイティブ職と同じように、単に「仕事をこなす」だけでは生き残りの難しい職業になっているのです。この先、Webデザイナーとして生き残っていくために必要なことを以下にまとめました。
なおWebデザイナーは、所属する会社によっても担当する作業に違いがあることも確かです。ここでは、画像制作からHTMLコーディングまでを作業範囲とする人をWebデザイナーとしています。
今までのWebデザイナーとこれからのWebデザイナーの違い
Webデザイナーとしての生き残りを考えた場合、考慮しなければならないのが『担当領域の拡大』です。そのためには、次のようなスキルが必要となるでしょう。
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今までのWebデザイナー |
これからのWebデザイナー |
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必要な技術的スキル |
・HTML ・CSS ・Photoshop ・Illustrator ・PC利用を前提としたデザインのノウハウ |
・HTML5 ・CSS3 ・Photoshop ・Illustrator ・UX/UIのノウハウ ・モバイル利用を前提としたデザインのノウハウ |
必要なヒューマンスキル |
・コミュニケーション能力 |
・コミュニケーション能力 ・折衝能力 ・ディレクション能力 |
必要な技術的スキル
スキルの方向性としては、現在と同様にHTMLを拡張していくものになることが予想されます。そのため、HTMLの最新版に常に対応していくことがまず必要でしょう。前回バージョンであるHTML4.01の勧告は10年以上前の1999年であるため、HTMLはすでに成熟している技術とも考えられます。利用媒体が大きく変わらない限りは、次のバージョンについて長期間かかるでしょう。
また、スマートフォン市場の拡大はもはやごく当たり前のものとされています。Webデザイナーもまた、スマートフォンなどモバイル端末の利用を前提にしたデザインに対応していくことがより重要です。モバイル端末はパソコンと比べて画面サイズが小さく、タッチパネル操作がメインだという特徴があります。小画面での閲覧や直感的な操作や前提としたUX/UIの設計が、今後はさらに重要視されてくるでしょう。
必要なヒューマンスキル
Webデザイナーには、技術以外にヒューマンスキルも大切です。具体的には折衝能力やディレクション能力など、対人関係に関するスキルが重要になってきます。背景にあるのは、Web制作の複雑化とそれに伴う担当人員の増加です。制作にかかわる人が増えるため、外部の人との折衝や業務のディレクションが問われることになります。この傾向はある程度、経験を積んで周囲から頼られることが増えたWebデザイナーに特に当てはまるでしょう。
スキルやトレンドの移り変わりが激しいネット業界では、「今後10年、これさえ習得しておけば問題ない」というものはありません。上に挙げたようなスキルも、あくめで最低限必要になってくる基本のスキル・知識です。
しかしブラウザで参照するという形が変わらない限り、インターネットを形成するものはHTMLの拡張にあります。基本スキルを磨きつつ、状況に応じて別のスキル・経験を伸ばす。そうした柔軟な考え方をもとに、先を見据えてキャリアアップの用意をする必要があるでしょう。(ライター:ナレッジ・リンクス/原 進)