フリーライター ~文章作成のプロフェッショナル~
仕事の役割 ~限られた文字数で情報を伝える~
フリーライターは会社や特定の出版社に属さず、書籍や雑誌、webコンテンツなどに掲載する文章を作成します。決められた記事のテーマに基づき、編集者の指示するサムネイルどおり、文字数を計算しながら、文章を書くことが主な仕事の役割です。読者の心を掴む魅力ある誌面・webコンテンツづくりのため、グラフィックデザイナーと共同作業をすることもあります。
読者を惹きつける表現力こそがライターの腕の見せどころ。取材は重要な仕事のひとつであり、取材対象者を自分でみつけることもあります。インタビュー内容はICレコーダーに録音し、それを記事にまとめ、誤字などのチェック、校正までが主な流れです。webコンテンツは情報の流れも速いので、文章作成だけではなく、すでにある文章をリライトする仕事なども存在します。
もちろん、フリーである以上は営業活動も自分で行う必要があります。書きたい記事があれば、企画書や過去の制作物を持っていき、編集者を相手にプレゼンなども行います。
おおよその年収
稼げる人、知名度のある人は別ですが、平均年収350万円がボリュームゾーンと見られます。出版不況もあり、ひとつの仕事当たりのギャラは下がり続けています。
求められる能力 ~読者に合わせて文章を柔軟に変える能力~
ライターに必要なのは文章力よりも「情報を正しく伝える能力」かもしれません。文章を書くことはどうしても、自分の主観が入りがちですが、事実を正確に、わかりやすく伝えることがプロのライターに求められるスキルです。
その延長で「読者が今、どんな情報を欲しがっているのか」を意識しながら書くことも大切。読者の年齢や性別を意識し、読者層に合わせて柔軟に文体なども変えていきます。また、フリーライターはフットワークが軽く、人脈が広いと、仕事もスムーズに進んでいくでしょう。記事のテーマが与えられとき、「このテーマならあの人に取材しよう」とすぐに誰かの顔が浮かぶくらいの人脈も必要です。また実際に取材すると、たくさんの情報が集まりますが、その情報を整理し、無駄な部分を捨てるなどの、見極めが必要になります。
向いている人柄 ~「この人だったら何でも話せる」という人間性~
フリーライターには好奇心旺盛で聞き上手な人が向いています。常に情報をチェックして、読者の興味を引く記事ネタを見つけることが大切です。そしてインタビューでは、どれだけ取材対象者から本音を引き出せるかが腕の見せどころ。話にくい雰囲気を醸し出してしまうと、書くネタも不足してしまいます。出版不況のこのご時世、専門分野だけよりも、政治から娯楽、広告記事まで幅広い分野の文章を書ける人がライターとしての仕事の幅は広がります。
その他、「体力」「気力」「貧乏への忍耐力」「ポジティブ思考」といった資質がなければ、急な締め切りや仕事がない時のプレッシャーに耐えられないでしょう。良い意味で神経が図太い人が向いています。
仕事のやりがい ~自分の署名で多数の読者に読んでもらえる~
文章を書くのが好き・社会や世論に問題意識がある人にとって、ライターの仕事は「自分の意見や主張」を商業文章のなかに、多少埋め込むことができるので、それがこの仕事のやりがいです。署名原稿を書けるようになれば、クレジットに自分の名前が表記され、ライターとしての自尊心も芽生えるでしょう。また、取材ではさまざまな人に出会えるので好奇心旺盛な人には毎日が刺激的なはずです。
仕事の辛いところ ~締め切りに追われて徹夜になることも~
フリーライターは自営業なので、時間が自由に使えます。満員電車とは無縁でライフスタイルの豊かさはありますが、収入が不安定になりがちです。またスケジュールがタイトになると、締め切りに追われて徹夜の日々が続くこともあります。とは言え、そんな苦しみから解放されて完成したものを書店やネットで目にする機会こそが、ライターの仕事の喜びです。(ライター:二之形幸子)