ゲームディレクター ~ゲーム制作の現場責任者~
仕事の役割 ~ゲーム制作のあらゆる責任を負う~
ゲームディレクターは、コンピュータゲームの企画立案からデザイン、プログラミングなど、制作に関わるすべての作業をまとめる現場の統括責任者です。グラフィックデザイナーやサウンドクリエイター、プログラマーなどに指示を出し、ひとつのゲームを完成させるまでが仕事の役割です。ゲームプランナー(企画立案)としてスキルを磨いた後、ディレクターとしてスキルアップする人が多いでしょう。
ゲームプロデューサーがスタッフの選定、予算・スケジュール管理、宣伝・販売計画の立案など、開発プロジェクト全体の統括する役割を担うのに対し、ゲームディレクターはあくまでゲーム制作そのものに責任を負う立場です。家庭用のゲーム機や携帯ゲーム機だけでなく、近年はスマートフォンのゲームアプリの制作など活躍の場は増えつつあります。そのなかで「売れる」ゲームを生み出す仕事は大変ですが、若者に人気のある職業です。
おおよその年収
会社の規模によってピンからキリまで差がありますが、平均すると年収500万円ほどと言われています。若くても才能と実績があれば、高収入を得やすい仕事です。
求められる能力 ~クリエイターの「思い」を生かす能力~
映像や音楽、プログラミングなどの制作スタッフをひとつにまとめなければいけないので、ゲームディレクターには各専門分野のクリエイターたちとうまくコミュニケーションをとる能力が求められます。当然、ゲーム作りの知識(プログラミングや映像制作、サウンド制作に関する技術やノウハウ)も基礎として必要でしょう。
また、クリエイターというのはその専門分野ごとに「こうしたい!」という信念を持っているもの。しかしその信念が別のクリエイターの信念とぶつかり合ってしまうこともありますし、クオリティを重視し過ぎるあまり、スケジュールや予算を超過してしまっては開発が破たんしてしまいます。ゲームディレクターには、こうしたクリエイターの気持ちをうまく調整しながら擦り合わせて、完成に近づけていくバランス感覚が求められるでしょう。
さらに、ゲーム業界は変化が激しいので、「売れるゲーム」を作る嗅覚と情熱も求められます。面白いものをつくる情熱や企画力も大切ですが、統括責任者として、リーダーシップも必然的に求められます。
向いている人柄 ~「面白いこと」の引き出しが多い人~
ゲーム好きであることは言うまでもありませんが、ゲームを作る側として成功するためには、とことんゲームを好きになり「なぜこのゲームが人気なのか」を分析できる人が向いているでしょう。また、会社から指示された通りのものを作ろうとするより、アイデアの引き出しが多い人が向いています。日々、いろいろなものに興味を持ち、自分が面白いと思えることをストックし、それをゲーム制作にもアウトプットできる人が向いています。
仕事のやりがい ~子どもから大人まで夢中にさせる!~
ゲームの種類によって差はありますが、ひとつのゲームの製作期間は短くても半年、長ければ3~4年以上もかかります。当然、多くのスタッフがかかわり合いになりますし、多くのファンから注目されるようなメガヒットタイトルともなれば何十万~何百万人の人がそのゲームをプレイすることになります。子どもから大人まで夢中になれるゲームを生み出せるという実感は、この仕事ならではのやりがいでしょう。
仕事の辛いところ ~下積み期間に辞めてしまう若者も多い~
ゲームディレクターとして活躍するまでには、下積みが欠かせません。数年間~十数年間はゲームプランナーやゲームデザイナーとして、ゲーム作りの基礎を積む必要があるでしょう。加えて、クリエイティブ職なので常にクオリティアップを強いられる傾向もあります。残業や休日出社も多くなりがちで、特に納期前などは徹夜も続くでしょう。「面白いゲームをつくりたい」という気持ちを持ち続け、ゲーム業界でやっていく強い信念や情熱が求められます。(ライター:二之形幸子)