空間デザイナー ~快適な環境を生み出す空間の演出家~
仕事の役割 ~住宅から店舗、公共施設、公園までを手掛ける~
空間デザイナーは、店舗などの商業空間や一般住宅などの生活空間をデザインし、快適な環境を生み出すことが主な仕事です。商業施設のインテリアや演出だけでなく公園に置かれている美術作品のレイアウトや駅前広場などのデザイン、美術展での展示方法など、その活動範囲は多岐にわたります。一般住宅や集合住宅を手掛ける際は、室内の内装からマンションのエントランス周りを含めた、ありとあらゆる空間デザインを手掛けることがほとんどです。
ただ見た目に美しい環境をデザインするだけでなく、実際にその場所を利用するユーザーの目線でデザインコンセプトを考え、快適な生活空間を提案・創造していくことが主なミッションです。店舗や住宅などの空間で、人が幸せに生活できる時間と環境をつくりだす演出家として、大変やりがいを感じられるお仕事でしょう。
おおよその年収
平均年収は430万円~500万円ほどですが、高いセンスと経験を兼ね備えた人だと年収600万~700万円を実現することもあります。また、建築士などと二足のわらじで空間デザイナーの仕事を行っている人もいます。
求められる能力 ~専門知識だけでない幅広い知見とセンス~
空間デザイナーには豊富な知識と経験が求められます。たいていの場合、インテリアや建築、色彩学などの、専門知識や設計・製図など、建築や工業デザインの知識と専門技術を身に付けてから空間デザイナーとして独り立ちしています。資格は特に必要ありませんが、建築士資格を取得しておくと、空間デザイナーとしてのアピールにもつながるようです。また、商業施設士やカラーコーディネート資格、インテリア関連の資格なども取得しておくと有利です。
こうした専門知識はもちろんですが、重ねてきた人生経験や人柄も大きな武器になる業界です。例えば、一般住宅を手掛ける場合は子育てや家事といった実体験が役立ちますし、レストランやアーケード街などを手掛けるのであれば、買い物客やそこで働く従業員の目線も必要になるでしょう。また、取引先の販売店や他のスタッフと協力をして快適な空間づくりをしていくので、必然的にコミュニケーション能力も求められます。
向いている人柄 ~想像力や発想力がデザインを生む~
空間を立体的にデザインするので、思考力と想像力を多角的に働かせることのできる人が向いています。またユーザーと時代に合わせたデザインをする上で、人の流れと動き、その場所が利用されるシーンを適確に判断する洞察力も養っていかなければいけません。そのため、創造力を働かせながらデザインすることが好きな人に向いています。手先が器用なことも重要な資質です。
仕事のやりがい ~大プロジェクトが成功したときの醍醐味~
居心地の良い空間づくりは多くの人を幸せにする仕事なので、やりがいは十分あります。売れっ子になると、大型商業施設や公共施設を手掛けることもあるので、地図に残る仕事をする楽しさもあります。また、自分が頭の中で描いたものが具現化し、人の目に触れたり、知っていてくれたりするのは、他の仕事では得られない格別な気分を味わえるでしょう。プロジェクトチームを結成して、仕事をする機会も多く、さまざまなスタッフと協力して完成した瞬間は、大きな感動を得られる仕事です。
仕事の辛いところ ~売れっ子は一握り、力仕事や汚れ仕事も多い~
空間デザイナーと言うと聞こえはいいですが、実際は建設現場を四六時中駆け回り、資材を運んだりと、汚れ仕事や力仕事も多いのが現実です。塗料や薬剤、薬品、粉塵などと隣り合わせの仕事なので、アレルギーがある人や肌が弱い人には辛い仕事になりそうです。また確かにやりがいもある仕事ですが、まだまだその重要性が認知されていない職業ですので、建築士などとダブルワークで働かないと十分な仕事が得られない人も少なくないようです。(ライター:二之形幸子)