イラストレーター ~あらゆるシーンでさまざまなイラストを描く~
仕事内容 ~クライアントが求めるものをイラスト化する~
イラストレーターは雑誌や書籍、ポスター、カタログなど、グラフィック上のイラストやカットなどを描く仕事です。名前が売れると、テレビ番組に使用するイラストやテレビゲーム、スマホゲームなどのイラストを手がける人もいます。しかし、よほどの売れっ子でもない限り、自分の描きたいものを描いて生活できる人はめったにいません。雑誌の編集者や広告代理店など、クライアントから依頼されたものを描くのが仕事と言ってもいいでしょう。
実際の仕事では、どのようなイラストが必要かという打ち合わせからはじまります。書籍の挿し絵や雑誌のちょっとした説明用イラスト、ポスターに使うイメージキャラクターなど描くものは多種多様です。完成したイラストとクライアントが抱えるイメージの間にズレが生じないように、打ち合わせ時に相手の要望をしっかり把握することが求められます。打ち合わせの後、要求されたイメージのイラストを作成し、納品します。クライアントのイメージどおりであれば、スムーズに進みますが、場合によっては、描き直しを要求されることもあります。イラストレーターは、広告代理店や制作会社などで働く人もいますが、フリーで働く人も多い職業です。フリーの場合、多くの仕事をこなしながら、自分の名前を売っていく必要があります。
おおよその年収
平均年収は約350万円。近年はパソコンを使ってイラストレーターとしてデビューする人が増えていることもあり、イラストレーターという仕事自体のレア度が下がりつつあります。そのため、仕事のギャラもダンピングされがちな傾向にあります。
求められる能力 ~クライアントの要望を敏感に察知する~
当然ながら、イラストレーターには絵を描くスキルが求められます。単に自分の絵柄で描くだけではなく、コミカルなキャラクターからリアルな風景、写実的な似顔絵まで、幅広いタッチで描けなければ、イラストレーターとしての仕事の幅も広がりません。そういった意味ではセンスや才能よりも、柔軟性や器用さが重要な職業です。学歴などは特に必要ありませんが、専門学校や美術大学などでグラフィックの勉強をしていた人が多いです。最近はデジタル化が進み、Photoshop(フォトショップ)やIllustrator(イラストレーター)を使いこなせることが最低限の必須技術になっています。
もちろん、絵を描くのが好きなだけでは仕事として成り立ちません。クライアントがぼんやりと考えている「こんな絵を描いてほしい」という気持ちを敏感に察知し、イラストとして完成させるコミュニケーション能力が求められます。また、近年はイラスト作成ソフトが安価で購入できるため、昔よりも気軽にイラストレーターになることができます。稼ぎを確保するためにも、クライアントに強みや特徴を売り込む営業力は欠かせないでしょう。
向いている人柄 ~柔軟性があり、忍耐力のある人~
イラストレーターに向いている人の第一条件は、絵が好きなことです。しかし、「仕事としてイラストを描く」ので、クライアントの要求どおりに仕上げられる柔軟性のある人が向いています。また、クライアントの要望を把握しそこなってしまうと、何度も描き直しを要求されることもあるので、それに耐えられるだけの忍耐力も大切でしょう。流行などにも敏感で、常にセンスを磨いていけるような人が活躍できます。
仕事のやりがい ~共同作業でイラストが輝き始める瞬間~
イラストレーターの仕事はクライアントやデザイナー、ライター、作家などとの共同作業です。例えば人気作家の本の挿し絵を描いたり、クールなデザインのポスターと自分のイラストが使われたりといった具合です。他の分野のクリエイターたちと作り上げた制作物のなかで、自分のイラストが生き生きと輝いているのを見たとき、この上もない喜びを実感できるでしょう。また、自分の描いたイラストを雑誌や広告などで目にすることも仕事の醍醐味です。
仕事の辛いところ ~フリーだと生活設計が大変~
打ち合わせや、他のクリエイターたちとの共同作業であるものの、イラストレーターの仕事は基本、孤独です。描き直しを何度も要求されて、出口の見えない作業のあいだも、ひとりでイラストを描き続けなければいけません。また、フリーで働く人の多い仕事ですが、仕事の受注が減ってしまえば、ダイレクトに年収に響いてきます。有名なイラストレーターにならないかぎり、フリーで生活していくのも大変なようです。(ライター:二之形幸子)