カメラマン ~最高の瞬間をとらえて、シャッターを切る~
仕事の役割 ~あらゆるメディアの写真素材を作り出す~
カメラマンの仕事は、言うまでもなく写真を撮ること。どのような写真を専門にするかは人によって違いがありますが、新聞や雑誌など報道目的の写真や、ポスターやカタログなどの広告写真、写真スタジオで証明写真や家族の記念撮影をするケースなどが挙げられます。フォトグラファーと呼ばれることもありますが、両者に明確な違いはありません。ただし、大まかには次のような違いがあります。
- 映像など動画撮影も行うのがカメラマン
- 芸術写真を撮るのはフォトグラファーと呼ばれることが多い
- 海外ではフォトグラファーという呼び方が一般的
勤務先としては、新聞社や出版社、広告会社などのマスコミ関係、フォトスタジオ、カメラマン専門のプロダクションなどですが、フリーランスでの独立する人も多い仕事です。最近はスマホのアプリなどでオシャレな写真を簡単に撮れることから、カメラマンを目指す若者も増えてきましたが、プロとして依頼された写真を撮影するには一定の技術と下積みと経験をする必要があります。また、近年は写真を撮影するだけでなく、画像データをパソコンに取り込み、専用ソフトできれいに画像処理をしたりする仕事もあります。
おおよその年収
駆け出しのアシスタントだと、年収200万円程度という人も珍しくありません。独立してフリーのカメラマンとして活動している人の場合、年収300万円~400万円ほどが一般的ですが、仕事を受注できるかどうかに左右されがちです。ただ、報道写真やアートとしての写真で賞を獲得したり、知名度を上げたりすれば、高年収を実現することも夢ではありません。
求められる能力 ~秒単位の瞬間を見逃さない集中力~
カメラマンに資格は特に必要ありません。本人の努力や才能次第では学歴も関係なく、フォトグラファーとして有名になることも可能です。しかし、それはほんの一握り。ほとんどの人は、写真学科がある大学や専門学校で勉強し、基本的な撮影技術を学びます。就職をしてからは、先輩のアシスタントや雑用からスタートするので、激務に耐えるだけのタフな肉体と精神力が求められます。そのほか技術的な面では、最近はデジタルカメラ撮影がほとんどなので、画像処理や修正のためパソコンを使いこなす知識が求められます。
カメラマンは、人物や風景など作りだす最高の一瞬を見逃さずにシャッターを切らなければいけません。コンマ秒単位のシーンを見逃さない集中力とセンスが大切です。人物写真をメインに撮影する人の場合、被写体をリラックスさせ、場を盛り上げられるようなコミュニケーション能力があれば良い写真が撮れるでしょう。
向いている人柄 ~場を和ませられる人、忍耐力のある人~
人物写真をメインに撮るカメラマンなら、いつも明るく、元気な人がカメラマンには向いています。モデルやタレント、子どもなどを撮影する機会も多いので、ベストな表情を引き出さなくてはなりません。人をリラックスさせられるかどうかは、カメラマンの腕にかかっています。
一方、報道写真や動物写真などをメインに撮影する場合、撮影したいシーンに遭遇するまで何時間も(場合によっては何日も)粘って待機することもあります。撮影できる一瞬のために、いくらでも耐えられる忍耐力が必要でしょう。
仕事のやりがい ~人生のイベントにかかわることができる~
プロのカメラマンになるまでの道のりは大変ですが、一度認められれば、他の職業よりも多くのやりがいがあります。その魅力はやはり自分の撮影した写真が、雑誌や広告などたくさんの人の目に触れるところでしょう。
また、さまざまなイベントに立ち会える仕事でもあります。例えばフォトスタジオに所属するカメラマンの場合、お客様の結婚式や七五三、入学式、卒業式などのイベントに関わることができます。また、報道写真専門のカメラマンであれば、政治やスポーツ、事件・事故における歴史的瞬間を撮影できるチャンスがあります。こうした瞬間に立ち会い、写真として記録できるのは、カメラマンの醍醐味といえるでしょう。
仕事の辛いところ ~プレッシャーに負けてしまうことも~
撮影は一度失敗すると、やり直しができないことがあります。まさに一瞬一瞬が勝負。特に報道写真の場合、同じ条件で撮影できる可能性はほとんどゼロなので、一度きりのチャンスに全身全霊を尽くさなければいけません。「失敗は許されない」という強い気持ちを保ち続けなければいけないことが、カメラマンの辛い部分かもしれません。(ライター:二之形幸子)