放送作家 ~テレビ・ラジオの質を左右する重要職~
仕事の役割 ~台本から構成企画までを考える~
放送作家はテレビやラジオ番組の台本を書くのがおもな仕事です。担当する番組は、バラエティーや音楽番組、ドキュメンタリーなどさまざまで、ドラマや報道以外のほぼすべてのジャンルを担当します。
テレビやラジオの番組は、どんな内容のものでも「台本」が存在し、それに従ってテレビ番組の収録が進められます。一見、アドリブで進んでいるようなバラエティー番組でも、「最初にこのコーナーをやり、司会者が説明をおこなう」「このコーナーではこの映像を流し、こんなナレーションを入れる」など細かく決まっているのです。放送作家の仕事は、この台本を作ることですので、番組づくりの基盤を作る仕事とも言えるでしょう。
また、進行やナレーションを作るだけではなく、番組の企画そのものを考えることも放送作家の仕事のひとつ。どんなコーナーにするか、どんな雰囲気で進めるかなど、企画会議のなかで、プロデューサーやディレクターと盛んに意見交換をし、視聴者を楽しませる番組を目指します。ある程度の企画が出来上がったら、具体的な台本作成をおこない、内容を固めていきます。
おおよその年収
平均年収は約350万円ですが、高視聴率の番組を連発するような売れっ子の放送作家だと、年収1000万円~2000万円以上という人もいます。
求められる能力 ~番組作りにかける才能と人脈~
放送作家には、学歴や資格はまったく関係ありません。テレビやラジオに関する才能だけで食べていけるのがこの仕事の特徴です。話題の企画を作ることができる発想力、視聴者のトレンドを敏感に察知する感受性の高さ、他者にはマネできない企画を生むオリジナリティー、常に時代の変化についていける臨機応変な考え方などがあれば、放送作家として成功する可能性があるでしょう。逆を言えば、そうした才能がすべての世界とも言えます。
放送作家になる道はさまざまですが、何かしらの人脈があると有利なことは間違いありません。お笑い芸人を目指しつつ、途中からプロデューサーに才能を見込まれて放送作家へ転身した人、著名な放送作家へ弟子入りしてプロデビューした人などがその例でしょう。また、ラジオ番組へのハガキの投稿などからプロに目をかけられて、放送作家として抜てきされた人もいます。また、才能はもちろん必要ですが、台本を書くのがおもな仕事なので基本的な日本語力や文章力は必要です。
向いている人柄 ~「面白がり屋」でタフな人~
放送作家に向いているのは、「何でもおもしろがることができる人」です。誰も気づかないような新たなトレンドをつかみ、時代を先取りした企画を作れると、人気の放送作家として重宝されるでしょう。また、好奇心旺盛であればあるほどアイデアのストックも豊富になり、放送作家としての才能もどんどん広がっていきます。 また、徹夜などが当たり前の世界なので、タフな人が向いています。プライベートにも仕事を持ち込めるくらいの、仕事への情熱が大切です。
仕事のやりがい ~芸能人・有名人と仕事をする華やかな世界~
自分の頭の中に描いた「おもしろいもの」や「よいもの」が、テレビやラジオで実際に放送されることは、放送作家にとってこの上ない喜びです。さらには、視聴率がよかったときなどは、番組制作者、プロデューサーやディレクターなどと、喜びを分かち合うことができ、放送作家としての自信につながっていきます。もちろん、芸能人や有名人、スポーツ選手などと接する機会も多いので、華やかな世界に身を置くことができるでしょう。
仕事の辛いところ ~放送作家になるまでの苦難の道~
テレビやラジオは放送局の数や放送できる時間(1日24時間)が限られています、つまり、放送作家はその限られた中で自分の企画や台本をアピールし、採用してもらわなければ収入が得られません。また、放送作家になるまでも大変です。著名な放送作家の弟子からスタートする場合は、給料も少なく、何年間も雑用をこなさなければいけないことが多々あります。そんな努力をしても芽が出ないことも多く、途中で夢をあきらめる若者が多いことも事実です。才能をかたちにし、限られたチャンスをものにできるかどうか、非常にシビアな世界でもあります。(ライター:二之形幸子)