ジュエリーデザイナー ~デザインを通して美しさを引き出す~
仕事の役割 ~材料、コストに合わせて装飾品のデザイン画を描く~
ジュエリーデザイナーは、ネックレスや指輪、ピアスなどのアクセサリーをデザインするのがおもな仕事です。宝石の美しさは、原石を研磨したり、カットしたりすることも大切ですが、デザインされて初めてジュエリーとして完成します。ジュエリーデザイナーは、その美しさを引き出す、重要な役割を果たしています。
実際の仕事では、材料やコスト、商品企画の内容を踏まえながら、手書きやパソコンでアクセサリーのデザイン画を作成します。このときどんなアクセサリーが売れるのか、マーケティング担当者やクライアント企業と綿密に打ち合わせをして、イメージを膨らませながら、デザイン画を描きます。また、予算に合わせてどんな素材を使用するかも検討します。デザイン画をもとにしてアクセサリーが製作されるため、上から見た図、正面から見た図、側面から見た図を正確に描く必要があります。
就職先は、アクセサリーやファッションメーカー、宝石加工会社、フリーランスなどで、デザインを学び、技術とセンスを磨きます。また、なかにはアクセサリーの制作までおこなうデザイナーもいますが、基本的にはジュエリーデザイナーはデザイン画の製作が中心です。
おおよその年収
平均年収は約350万円~500万円。近年は高価なアクセサリーの需要が減っていることから、ジュエリーデザイナーの求人自体が少なく、営業職や商品企画と並行して仕事をすることも珍しくないようです。
求められる能力 ~卓越したデザインセンスと流行を読み解く視点~
ジュエリーデザイナーになる場合、美術系の大学やファッション系の専門学校でデザインを学び、専門知識を身につける人が多いようです。ジュエリーをゼロから形にしていく仕事なので当然ながらデザインセンスも大切ですが、「どれだけ売れる」ものを制作できるかも重要。そのため、ファッションのトレンド、世の中の動きに敏感な感性が求められるでしょう。
また、ブランドによっては、ターゲット層も違いますし、値段も変わります。ターゲットに合わせたデザインを考えられる、柔軟な感性が求められます。特に、ファッショントレンドの変化はめまぐるしく、保守的なデザインしかしないブランドは飽きられてしまいます。ときには「お客さんを育てる」くらいの大胆な発想も必要です。そのほか、宝石加工会社やメーカーの人などとの打ち合わせも必要なので、コミュニケーション能力も大切です。
向いている人柄 ~頭の中のイメージを形にできる人~
素材やマーケティング情報にもとづいて、ゼロからデザイン画を描くことになるので、頭の中のイメージを形にできる人でなければジュエリーデザイナーは務まらないでしょう。また、デザイン画の作成は非常に細かい作業です。高価な素材を扱うことになるので、0.1ミリ単位で大きさや厚さを微調整することもあります。そうした細かな作業が苦にならない人が向いているでしょう。そのほか、自分のデザインを押し通すだけでなく、商品企画担当者や営業担当者の意見も受け入れながら、よりよいデザインを作り上げていくバランス感覚も重要です。
仕事のやりがい ~思い出の品をデザインできる喜び~
身につけた人の美しさを際立たせるさまざまなアクセサリー。それをデザインするジュエリーデザイナーは、まさに美の職人と言ってもいいやりがいのある仕事です。単なる消耗品ではない、貴重な装飾品を手がけられるというのも、ジュエリーデザイナーならではの特権でしょう。また、ときには世界に1つだけの特注品のデザインを依頼されることもあります。依頼者の思い出の品となる婚約指輪のデザインなどでは、特に仕事のやりがいを得られるはずです。
仕事の辛いところ ~就職するまでの大変さとデザイン作業の大変さ~
ジュエリーデザイナーは求人の数自体が少なく、そもそも就職することが狭き門です。特に近年は高価な宝飾品の需要が減っており、専門学校で知識を身につけてもそれが活かせないという人も大勢います。また、自分のデザインが受け入れてもらえないことも日常茶飯事です。「こんなデザインでは赤字だ」「今のトレンドではウケない」といった評価を受けることも覚悟する必要があるでしょう。(ライター:二之形幸子)