新聞記者 ~世の中の動きを文字で伝える~
仕事の役割 ~真実を追求するため、世界を駆け回る仕事~
新聞記者は、政治や経済、国際情勢など世の中で起こった事件や出来事を取材し、新聞に掲載するための記事を書く仕事です。事件・事故などのニュースはもちろん、文化・スポーツ、生活に役立つ情報や読者が興味を持ちそうな情報を集め、記事にまとめていきます。ほとんどの場合、新聞社に雇用されて各人が取り扱うテーマを割り振られます。政治担当、経済担当、事件・事故担当、スポーツ担当……といった具合です。毎日、常に情報アンテナを張り巡らせ、良い“ネタ”だと思ったら実際に取材をおこないます。取材後は事実確認、写真の選定などをおこないつつ、記事を執筆。その後はデスク(上司)に内容の確認をしてもらい、最終的にOKとなれば新聞に掲載されます。
新聞は毎日刊行されるものですから、常に時間との勝負です。深夜・早朝の取材や張り込み、直前での記事の書き換えなども日常茶飯事で、体力・精神力ともにタフでなければ務まらない、ハードワークの代表格でしょう。ネットの普及にともない紙の新聞が読まれにくくなっている一方で、自前のニュースサイトを立ち上げたり、新聞記者ならではの深掘りした読みごたえのある記事でユーザーを掴もうとしたりする動きも出てきています。
おおよその年収
平均年収は500万円~1000万円ほどですが、1000万円近くを実現できるのは、国内では読売・朝日・毎日・日経などの大手新聞の記者だけでしょう。地方新聞や業界専門新聞社の記者の場合は、平均年収は500万円程度です。
求められる能力 ~有益な情報を掴む情報力とコミュニケーション能力~
新聞社の入社試験はほとんどが大卒の新卒採用です。マスコミ業界への就職は相変わらず人気が高く、狭き門と言えるでしょう。入社試験では時事問題のほか、幅広い知識、語学力、文章力も試されます。面接では判断力、コミュニケーション能力なども重要視されるでしょう。
そのうえで新聞記者に最も求められるのは、有益な情報を掴むための情報感度の高さと、コミュニケーション能力です。世の中の動きを察知し、起きた出来事を迅速に伝えることはもちろん、まだニュースになっていない出来事にも着目して「これはすごいニュースになる!」と気づけるセンスがあれば、新聞記者として活躍できるでしょう。
さらに新聞記者はさまざまな人に接して、有益な情報を得るシーンが多くあります。ゼロの状態から鋭い質問を投げかけ、多くの人にとどれだけ有益な情報を引き出すかが大切なので、コミュニケーション能力も必要でしょう。最近ではネットの普及により、「新聞紙」の情報だけがすべて正しいものではないという認識に変わりつつあります。きちんと裏付けをとり、正しい情報を伝えていくような、責任感も大切です。
向いている人柄 ~文章を書くことが好きで好奇心旺盛な人~
好奇心、とりわけ人間に対する好奇心が強い人が向いています。新聞記者は、記事にするための情報を相手から得ることが仕事です。また、社会に対して問題意識があるような人は、新聞記者としても、情報の量と質を深めていけるでしょう。もちろん、情報を集めるだけでなく記事を書くことも仕事なので、文章を書くことが苦にならない性格であるのも大切です。
仕事のやりがい ~ジャーナリスト魂を燃やす、スクープ情報~
社会的に影響力の高い新聞記者の仕事は、大変やりがいのある仕事です。ある事件について独占スクープを入手できたり、地道な取材と調査の結果、まだニュースとして取り上げられていない社会問題を提起できたりしたときには、“ジャーナリスト魂”が燃え上がるようなやりがいを感じられるでしょう。また、取材を通じて多くの人と出会うことができる仕事でもあります。ときには歴史の目撃者になることもある、やりがいの大きい仕事です。
仕事の辛いところ ~良心の呵責に苛まれることも~
取材するために、相手の“ふところ”に踏み込まなければいけないこともあります。時には取材相手に嫌われるような質問を投げかけなければ、価値ある情報を引き出せないこともあるでしょう。もちろん、取材を申し込んでも門前払いをされることも日常茶飯事です。
そしてまた、ときとして良心の呵責に苛まれることもあります。何日も追いかけてきたスクープが会社の意向でニュースにできなかったり、社会のためになると思って報道したことで誰かを傷つけてしまったり……。そうした葛藤と向き合い、「正しい情報を伝える」という新聞記者のポリシーで乗り越えていかなければいけません。(ライター:二之形幸子)