パタンナー ~服飾の型紙を作る職人~
仕事の役割 ~デザイナーのイメージを型紙に落とし込む~
パタンナーは、ファッションデザイナーが描いたデザイン画をもとに、型紙(パターン)を作る仕事です。デザイナーのアイディアを実際の形にする重要な役割です。衣服は立体物ですが、デザイナーが企画する段階では平面のデザイン図でしかありません。その平面デザインを立体物として量産するときに必要なものが型紙(パターン)です。この型紙が、衣服を作る上での重要な基本の形になります。ひと言でいえば、衣服の設計図をつくる仕事と言えるでしょう。
パタンナーはデザイン画から完成形の服をイメージしながら、服の素材や仕上がりを頭に描きつつ、数ミリの誤差もなく型紙に起こしていきます。そで口がどうなっているのか、スカートの側面のカーブはどう裁断されるのか、ポケットや襟はどの位置にくるのか、など服飾に関する専門知識と技術が求められる仕事です。また、製造途中の裁断や縫製に指示を出すことも仕事のひとつ。最近ではCADで型紙作成をおこなうことがほとんどになりました。優れたデザインの衣服がイメージ通りに量産できるか、着心地のよい衣服になるか、最終的な善し悪しはパタンナーの技術次第と言われるほど、アパレル業界では重要な位置づけとなっています。
おおよその年収
平均年収は約370万円ですが、ベテランになれば年収500万~600万円代を実現できる人も少なくないようです。
求められる能力 ~服飾に関する高度な知識・ノウハウ、想像力~
パタンナーになるには学歴や資格などは特に必要ありません。しかし、実際にパタンナーとして活躍している人は、服飾系専門学校・大学・短大などで縫製や裁断、素材などの知識や技術を身につけている人が多いことも事実です。採用側も、まったくの未経験、服飾への憧れだけの、ポテンシャル採用をすることはほとんどありません。何かしらで服飾の勉強をしていた人のほうが有利でしょう。
こうした知識・ノウハウはもちろん、パタンナーには想像力も求められます。平面のデザイン画をもとに完成形を頭の中でイメージし、どのような型紙を作れば立体物に落とし込むことができるのかを考える能力が求められます。当然のことながら、ファッションセンスや流行に敏感であることも大切です。パターン製作は数ミリの誤差も許されない細かい作業なので正確さが要求される職人的な仕事です
向いている人柄 ~器用で几帳面な人~
パタンナーはアパレル洋服好きなことはもちろんですが、数ミリ単位の数字を意識しながら型紙を作っていくので、手先が器用で几帳面な人が向いています。衣服は、ちょっとしたズレで着心地が悪くなったり、見た目の印象がガラリと変わったりします。こうした違いにも気づけるような細やかさがあると、パタンナーとして活躍できるでしょう。また、実際の作業ではデザイナーや縫製者などとの共同作業にもなるので、協調性のある人だと、コミュニケーションもスムーズに進むでしょう。
仕事のやりがい ~自分の型紙が新たな衣服を生み出す~
ファッションデザイナーよりも、縁の下の力持ち的な存在で地道な職人色の濃い仕事ですが、自分が携わった服が形となり、世の中に広まっているのを見たときは、大きな達成感が味わえます。デザイナーや裁縫スタッフ、アパレル企業のマーケティング担当者などとのやり取りも多く、チームワークで新たな衣服を生み出す楽しさもあるでしょう。ファッション誌でモデルがかっこよく服を着こなしていたり、街を歩いている人が身につけているのを目にするたび、仕事のやりがいを感じられるでしょう。
仕事の辛いところ ~あくまでアパレル業界の裏方~
ファッションデザイナーは名前が売れたり、脚光を浴びたりすることもありますが、パタンナーは個人的に名前が売れることはほとんどありません。地道な職人的な位置づけなので、そこにジレンマを感じてしまうこともあるようです。また、数ミリ単位の誤差も許されない細かな作業の連続なので、心身ともに疲れてしまうことも少なくないようです。(ライター:二之形幸子)