校正 ~出版物のクオリティーを担保する“門番”~
仕事の役割 ~書籍・雑誌の誤字・脱字、表現を細かくチェック!~
校正は雑誌や書籍を出版する際、原稿の誤字や脱字、言葉の用法をチェックし、さらに内容のミスを指摘・修正するのがおもな仕事です。膨大な量の文章を一文字ずつ確認し、文字や言葉、文章、文脈に間違いや矛盾がないか、徹底的に追究することになります。著者や編集者が二重三重のチェックをしても誤字・脱字はどうしても起きてしまいますし、西暦や住所の間違い、用語の使い方を間違えることもあります。こうしたテキストに関わるミスを最終チェックし修正するのが、校正のミッションです。
勤務先はおもに出版社、新聞社、印刷会社などが中心になります。編集者やライターと比べると地味な存在になりがちです。また、活字離れや出版不況が嘆かれるようになり、編集者・ライターなどが兼任することも多くなりました。そのため、職種としての門戸は必ずしも広くありません。また、医学書や百科事典などの専門性の高い原稿をチェックする校正者は高齢化が進んでいます。近年では、文章の事実確認や内容の整合性を確認する「校閲」にもニーズもあるため、多種多様な文章に的確かつ迅速に対応できる校正者が求められるものと考えられます。
おおよその年収
平均年収は300万円~400万円ほどとあまり高くありませんが、大手出版社や新聞社などの校正担当は、長年の経験が重視されるケースが多く、安定した雇用を得ている人もいます。
求められる能力 ~活字のチェックだけではなく幅広い教養も必要~
細かく緻密な作業の繰り返しですので、特に注意力と正確さが求められます。また、一日中同じことをすることになりますので、集中力が求められるでしょう。語句・文章の整合性だけでなく、そもそも記述内容が事実と異なっていないかを調べるために、幅広い知識と一般教養なども求められる仕事です。納期や締め切りもある仕事ですので、時間管理しながら、きちんと正確に仕事をこなす能力が必須になってきます。
エディター要請スクールなどで校正記号や校正の基本を学ぶ人もいますが、多くの場合、そこまでしなくても適性さえあれば未経験からでもスタートできる仕事です。校正専門の編集プロダクションに所属したり、編集やライターの仕事をしたりするうちに校正技術は身につくこともあります。
向いている人柄 ~集中力と忍耐力、チェック能力のある人!~
集中力と忍耐力のある人は校正向きだと言えるでしょう。地味な作業を淡々とこなすことが得意な人、緻密な仕事を長時間継続してもあまり疲れない人も適性があります。また、多くの活字に触れる仕事なので本好きな人が向いているとも言えますが、校正はミスをチェックする仕事なので、「読む」と「チェックする」行為を分けて活字に触れられる人だと、活躍できそうです。
仕事のやりがい ~重大なミスを未然に防ぎ、頼られる存在~
校正は決して目立つことのない地味な仕事ではありますが、正確な情報を世の中に発信するためにはなくてはならない作業です。文章内に重大な誤植や内容の記述ミスがあった場合、出版物を回収しなければいけないこともあります。そういった事故を未然に防ぐ校正者は他部署からも非常に頼りにされるポジションでもあります。そういった面で魅力ややりがいも十分に感じられるでしょう。また、自分が携わった出版物を目にしたときは喜びもひとしおです。
仕事の辛いところ ~出版後にミスがみつかり責任問題になることも~
校正者はミスをチェックして品質を守るのが主な任務ですが、人間の行う仕事なので、100%ミスを防げるとはかぎりません。複数人ですべてをチェックして問題ないと判断し、世の中に流通させた後、間違いが発見されるということもあり得ます。その際には校正者の責任が厳しく問われることとなり、精神的にも追い詰められてしまう人もいるようです。(ライター:二之形幸子)