カーデザイナー ~自動車のビジュアルを形作る職人~
仕事の役割 ~未来を見据えて自動車の外観・内装をデザインする~
カーデザイナーは、その名の通り、自動車のデザインをする仕事です。新しい自動車を開発する際、最重要な要素である見た目の美しさ・機能性を左右する職業であり、工業デザイナーの中でもトップクラスの花形職と言われています。
自動車のデザインは分業制でおこなわれ、1人ですべてを請け負うことはまずありません。大きく外観・ボディをデザインするエクステリア・デザイナーと、内装をデザインするインテリア・デザイナーに分けられます。さらに色合いを決めるカラーデザイナーや全体をまとめるチーフデザイナーなど、複数人で新たな自動車をデザインするのが一般的です。
実際の仕事ではマーケティング担当者や技術開発担当者などと打ち合わせしながら、手書きスケッチやクレイモデル(粘土モデル)、3DCGモデルなどを経て試作車を作ります。さらに安全性や燃費、予算も確認しながら改良を重ねていきます。
人気職ですが、自動車メーカーやカーデザイン事務所などでも採用人数は限られており、非常に狭き門です。最近は電気自動車や自動運転車など、自動車業界の技術革新は目覚ましいものがあります。こうした最新技術や流行トレンドにも目を光らせなければならないため、カーデザイナーが考慮すべき分野はどんどん広がっていっています。専門知識や技術を磨きながら、未来を見通して人の心を動かすようなセンスが、これからのカーデザイナーには求められています。
おおよその年収
自動車メーカーに所属する場合、年収は700万円~800万円とかなりの高給が見込めます。一方、デザイン事務所所属の場合、年収にも幅があり300万円~600万円程度のようです。
求められる能力 ~思い描く自動車を可視化できるスキル~
カーデザインの技術とノウハウは独学で身につけるには専門性が高いため、芸術系や美術系、工学系の大学でプロダクトデザイン・インダストリアルデザインを幅広く学ぶ必要があります。デザインの技術だけでなく、流体力学や走行性、燃費性能など高度な専門知識とノウハウを身につけたうえで、思い描く車のデザインを可視化できる能力が求められます。
また、プロのカーデザイナーはプレゼンを何度も経験することになりますので、自分の思い描く車のデザインをプレゼン能力が必須になります。車は人のライフスタイルを変えるものでもあります。そんな意味でもいろいろな人や地域のライフスタイルに着目し、世の中の変化に対応できる柔軟なセンスも求められます。
向いている人柄 ~自動車が好きで未来を予想することが好きな人~
カーデザイナーである以上、自動車への深い愛着があればあるほど、仕事も熱意をもって取り組めるでしょう。また、自動車のデザインは、移り変わるトレンドや技術についていくだけでなく、数年先取りしてデザインする必要があります。流行に敏感で好奇心旺盛、分析力に優れ、将来を見据えて仕事ができる人には適性があるでしょう。
仕事のやりがい ~自分がデザインした自動車が完成した瞬間~
一台数百万円の自動車デザインを手がけることは、工業デザイナーにとってそれだけで大きなやりがいと言えるでしょう。自分のデザインした自動車が街中を走っているということも、カーデザイナーの喜びそのものでしょう。好きなことを仕事にできるという点では、辛さよりもやりがいのほうが大きな仕事です。
仕事の辛いところ ~目まぐるしい流行や技術革新~
自動車業界は流行や技術革新がめまぐるしい業界です。自動車のデザインのモデルチェンジが半年に一回のペースで行われるので、常にデザインを考え続けなければいけません。また、納期のある仕事なので、納期が迫ってくると徹夜仕事が続いてしまいます。常に流行が変わるので、正解がない世界でもあります。(ライター:二之形幸子)