雑誌広告の営業 ~紙媒体を宣伝ツールとして売り込む~
仕事の役割 ~雑誌の「広告枠」を売る仕事~
雑誌の広告営業は、雑誌内の広告枠を売ることがメインの仕事です。クライアント(広告主)に広告出稿の企画・提案をするのが主な役割で、広告枠という「カタチのないものを売る」ことになります。具体的な仕事では、雑誌の発行部数や読者層を把握したうえで、ターゲット層を絞り込み、クライアントには広告掲載によってどれだけ利益がもたらされるかをプレゼンします。
そうして広告掲載が決まったら、編集部と連携して広告づくりにも携わります。取材や撮影、原稿制作、入稿などのクリエイティブな作業は編集部が担当しますので、営業は広告内容がクライアントの希望とマッチしているかどうかの見極め、ページ全体のディレクションを行なうことが多くなります。
おおよその年収
一般的なサラリーマンと同じく、平均的な年収は450万円ほどです。近年は紙媒体の影響力低下が懸念されており、以前より減少傾向にあります。
求められる能力 ~営業力&クリエイティブセンスも必要~
雑誌広告の営業に必要なのはマーケティングデータの収集力と分析力、その上で提案力も必要になります。雑誌の性格や読者層を踏まえたうえで、どのようなクライアントに・どう提案すればよいかを考える必要があります。「こんな広告はどうですか?」「雑誌とタイアップして、ユニークな広告記事を載せませんか?」といったクリエイティブな提案を行うことになるでしょう。もちろん、クライアントや編集者など、どんな人とも臆することのなく、コミュニケーションできるスキルは必須です。
また、クライアントと編集者とのパイプ役として中間でバランスを保てる調整力も必然的に求められます。一見、華やかに見える広告の世界ですが、広告主の無茶ぶりに対応するため、雑誌編集部や広告制作のクリエイターに無理なお願いを飲ませることもあります。精神的・肉体的にタフさも必要でしょう。
向いている人柄 ~体育会系と文化系、どちらの要素も必要~
営業力や徹夜に耐えるタフさといった体育会系の要素、クリエイティブさや企画力といった文化系の要素、どちらの要素も併せ持つ人が向いています。また、クライアントと編集部の板挟みになることも多いので、中間に入ってバランスよく仕事を進めていけるコミュニケーションスキルの高い人は広告の営業としても信頼されます。広告のトレンドや流行に対するアンテナも必要なので、好奇心が旺盛な人も活躍しやすいでしょう。
仕事のやりがい ~社会とメディアを動かすダイナミック感~
自分が携わった雑誌広告のコラボ企画が大きな反響を呼んだり、メディアを動かしている実感を得られたりと、ビジネスのダイナミズムが感じられる仕事です。また、有名企業の人気商品を宣伝できたり、芸能人の撮影に立ち会えたりすることもあります。華やかな仕事が好きな人には、雑誌広告の営業は大変やりがいがある仕事になるでしょう。
仕事の辛いところ ~徹夜と接待、気苦労で不健康まっしぐら?~
雑誌広告に限らず、広告の営業は不健康になりやすいと言われています。クライアントの無茶な言い分や、広告物の納品の遅れも珍しくないため、気苦労が絶えません。徹夜は当たり前、サービス残業も業界全体では暗黙の了解という部分があります。また、クライアントを接待することも多く、飲み会などで体に負担がかかりやすい仕事でもあります。それでも、広告の1ページができあがったときの喜びはこの仕事ならではの醍醐味と言えるでしょう。(ライター:二之形幸子)