市場調査 ~ヒット商品誕生の下地をつくる~
仕事の役割 ~その商品・サービスは本当に売れるのか?~
市場調査はマーケットリサーチャーとも呼ばれます。消費者ニーズと市場全体の調査と分析を通じて、どのような商品・サービスが“売れる”のか、どのようなプロモーションなら効果があるのかなどを調査結果として提示することが仕事の役割です。自社のマーケティング部門で市場調査を行う企業もありますが、自社商品をより俯瞰的に捉えるため、外部のリサーチ専門会社に依頼するケースもあります。
新商品を発売するまでに、企業は消費者動向などの情報を集め、イベントやプロモーションを計画します。マーケットリサーチャーはこのような市場調査やプロモーションを行うプロフェッショナルとして、重要な役割を担っていると言えます。新商品が本当に消費者に望まれているのかを吟味し、競合他社の動きを事前につかんでおくことも大切です。
市場調査のプロでありつつも、消費者視点を忘れることなく、商品を俯瞰できることが求められ、最終的には売り手と買い手を望ましい形で結びつけていく大変やりがいのある仕事です。
おおよその年収
平均的な年収は約500万円。マーケットの調査・分析においては一朝一夕では身につかない経験とセンスが求められるので、他の職種と比べても高収入です。
求められる能力 ~論理的な思考と市場に対するセンス~
資格は特に必要ありませんが、データ集計や分析をするので数字に強いことが最低条件です。また「仮説を立て、検証し、次に生かす」というPDCAサイクルを回す能力も求められます。さらに今後は、ビッグデータ分析などのITを活用した分析手法についても知悉している必要があるでしょう。
情報の価値を推し量るセンスも問われます。数字による分析能力も大切ですが、その分析結果が何を意味しているのかを柔軟に読み解く発想力がなければ、競合他社に負けない商品開発につなげることはできません。そのため時には数字を離れ、じかに消費者の声をヒアリングするといった地道な調査も必要になります。
向いている人柄 ~新しいモノ好き、好奇心が旺盛な人~
冷静かつ論理的な情報分析力が求められる市場調査の仕事ですが、人柄としては「あたらしモノ好き」「流行に敏感」「好奇心旺盛」な人が向いています。自分の興味がない分野でも、貪欲に情報やトレンドを吸収しようとする姿勢がなければ、市場の新たな流れをつかむことはできないからです。知識を吸収するだけではなく、消費者の好みを的確につかみ、次のヒット商品を読み解くだけの発想力のある人は、この分野で活躍できるでしょう。
仕事のやりがい ~分析結果が見事に当たった!~
市場調査と分析は地味な仕事ではありますが、分析結果に基づいて新たな商品やサービスが生まれ、それがヒットしたときに大きな仕事のやりがいが得られます。商品づくりに携わった経験に自信が持てますし、消費者に商品の知名度が広がれば、ひとつの流行を生み出したという実感が持てるはずです。もちろん、「分析結果の読みが当たったという」市場の流れをつかんだ瞬間の喜びも、この仕事ならではのものです。
仕事の辛いところ ~ヒット商品を出しても評価されにくい?~
市場調査の仕事は「縁の下の力持ち」的な役割です。商品がヒットしても、評価されるのは企画部や営業部だったりします。また、外部のリサーチャーとして市場調査を依頼されると、クライアントによっては毎日が残業になることも。クライアントの要望なだけに、深夜まで付き合わなければいけないこともあり、精神的にも肉体的にも辛い日々が続くようです。(ライター:二之形幸子)