物流企画 ~物流の生命線をあずかる重要職~
仕事の役割 ~在庫管理や配送ルート設定、スタッフ配置まで~
物流企画は、工場などで生産された商品・製品を市場へ届けるため、在庫管理や配送ルート、スタッフの配置など、物流の大動脈を構築・運用する仕事です。何を・いつ・どのように出荷すれば最も効率がよく、コストも下げられるかを考え、そのために必要な手配をおこなうのがミッションです。活躍の場は流通業界やメーカー、サービス業などになります。実際の働く現場としては、メーカーの物流部門に在籍して自社製品の物流管理全般を担うか、運送会社に在籍してクライアントの製品の配送を引き受けるかで、大きく2つに分けられます。
各地に存在する物流拠点ごとに、地域性や配送コストも異なりますので、各センターの問題をどう解決していくか、個別に考える必要があります。ときにはクライアントや協力会社と話し合いながら問題解決に挑むこともあります。 コスト削減や効率化・合理化を求められる仕事なので責任は重大。しかし、その分やりがいも大きいでしょう。商業活動が行われるかぎり、物流企画の仕事がなくなることはありません。グローバル化した世の中で、ますます需要も高まる、将来性の高い仕事のひとつです。
おおよその年収
平均年収は約400万~500万円です。企業規模により年収に幅はありますが、企業経営の重要な部分の仕事なので収入はそう悪くはありません。また、専門的なポジションであり、代替が効かないため、ある意味で「レア」な職種でもあります。実績を重ねれば、より高い年収を実現することも可能です。
求められる能力 ~物流の基礎知識と交渉力、語学力~
新卒採用なら未経験でもゼロから教えてもらうことも可能ですが、中途採用で物流企画を目指すのであれば、物流に関する最低限の基礎知識は必要でしょう。工場から出荷された製品がどのように一般消費者の手元に届くのかを理解できなければなりません。
その上で交渉力が求められます。物流企画の仕事には交渉事がつきもので、急な出荷や配送ルート変更などにも対応できなければいけません。そのたびにコストや納期をオーバーしないよう、協力してもらっている運送会社やドライバーなどに対応を依頼することになります。社内外を問わず、さまざまな人と接する機会が多いので、コミュニケーション能力は必須です。また、物流センターなどの要望を受け入れるだけではなく、企業ポリシーを踏まえた上で、いかにベストな方法を生み出すことができるか、を考えることが重要ですので、バランス感覚も大切です。
加えて昨今であればビジネスレベルの英語力・中国語力があると、海外取引もできるようになり、仕事の幅が広がります。そのほか生産管理や在庫管理の経験や知識、電気・機械系の技術知識があると、活躍の場も広がっていくようです。
向いている人柄 ~広い視野で全体を見渡せるような人~
物流やグローバルな取引に興味がある人はもちろん、コスト削減や業務の効率化に興味のある人が向いています。また、ひとつの仕事に集中することよりも、業務全体の流れを見渡せる広い視野を持てるような人にとってはやりがいのある仕事になりそうです。また、物流は変化の激しい仕事です。急な納品要求にもスピーディかつ柔軟に対応できる人が向いているでしょう。
仕事のやりがい ~効率アップ・コスト削減など結果が出る~
自分の提案した新たな配送計画や運送会社との協力によって、作業効率が上がったり、コスト削減を実現できたりしたときこそが、この仕事のやりがいです。物流企画者の元には、物流の効率を上げるための人員配置や作業量の割り振りなど、様々な相談が寄せられます。そのような問題を自分のアイデアで解決できたときこそ、この仕事の醍醐味を味わうことができます。近年は、自動運転車や配送センターでのロボットの活用などの新技術も登場しているため、物流の新時代を目の当たりにできる魅力もありそうです。
仕事の辛いところ ~毎日、納品に追われてしまう~
急な需要増で納品日が早まったり、逆に需要減で仕入れのストップや調整などを行ったりすることがよくあります。納期や数量などの日程管理をやりくりしていると、毎日追い詰められている気分になりがちです。また、物流ネットワークは365日24時間ノンストップです。緊急対応が起こる可能性があることも、この仕事の辛い部分でしょう。(ライター:二之形幸子)