医療機器の営業 ~医療の発展に営業職として貢献できる~
仕事の役割 ~最新の医療機器を病院関係者に提案・提供~
医療のさまざまなシーンで必要とされる各種の医療機器を、病院の医師や看護師らに提案・販売するのが、医療機器営業のおもな仕事です。
医師や看護師は、医療行為のプロですが、次々と開発される最新医療機器や海外のユニークな製品にまで精通しているわけではありません。医療機器の営業担当者は、こうした最新製品や海外の製品の特徴やメリット、価格を正しく伝える必要があります。ひと口に医療機器と言っても、1個十数円の包帯や注射針といった消耗品から1台で何千万円もするMRIや人口透析装置までさまざまなので、病院側の細かい要望もくみ取りながら製品を提案していきます。
高齢化社会の中で、医療業界全体は今後も成長を続けているため、医療機器の営業職は転職市場の中でも高いニーズがあります。また、技術の進化で製品も次から次へと新しくなりますので、成長し続けるマーケットの中で、仕事のやりがいを感じられる仕事です。医療機器メーカーに在籍するのはもちろん、医療機器の商社(卸会社)に所属して各メーカーの商品を提供するキャリアもあります。また、家電やオーディオ、カメラフィルムなどの異業種の企業が、新ビジネスとして医療分野に進出することも増えており今後もさらなる成長が期待されています。
おおよその年収
一般的な営業スキルだけでなく、医療に関する深い知識、業界の最新トレンドをくみ取る学習意欲も問われるため、平均年収は約530万円と高めです。
求められる能力 ~専門知識と柔軟なコミュニケーション~
商材に対する理解はどんな営業職でも求められるものですが、医療機器の営業は、ほかの営業職以上に専門知識が求められる特殊な営業職です。注射器のような小さな商品でも、人の健康・命にかかわるものであることに違いはありません。商品のメリットやコストだけでなく、安全性・信頼性、使用上の注意点などにも精通することが重要です。また病院側から「こういう製品はないか?」「こんな患者に最適な製品はないか?」と質問されることも多いので、その回答のためにも幅広い製品知識が必要でしょう。
もちろん、専門知識と同じく営業職としてのコミュニケーション能力も求められます。顧客ニーズを的確につかみ、それに応じた製品を提案するのはもちろん、販売後のアフターフォローやクレーム対応なども日常的にあります。知識とコミュニケーション能力の両方がかみ合うことで、初めてお客さんから認められ信頼されます。
向いている人柄 ~常に向上心があり、フットワークが軽いこと~
社内外を問わず、年齢や立場などが異なる方と触れあう機会がたくさんある仕事です。そのため、人と接することが好きな方に向いています。また、あちこちの病院で営業活動をおこなうので、フットワークが軽い人でなければ仕事は務まりません。
また、医療業界は日々進化しており、次から次へと最新機器が登場します。そのため入社後は、医療や関連する技術・業界などについてさまざまな知識を継続的に学ぶ努力が必要です。それだけに、物事にコツコツ取り組むのが得意な方に向いている仕事だと言えます。
仕事のやりがい ~たくさんの人の健康を守るやりがい~
自分の提案した製品が医師や看護師らに活用され、患者さんの命と健康を守る……。医療機器営業は、そんなやりがいを感じられるポジションです。直接、患者さんと接することはありませんが、専門知識を駆使して医療業界を裏から支えるパートナーとして、医師や看護師から頼りにされるでしょう。収入面でも優遇されており、インセンティブなども含めて、年収1000万円以上になる人もいます。
仕事の辛いところ ~未だに接待のある古い業界体質?~
MRと同じく、医療機器の営業では1回の取引が数百万円~数千万円におよぶことも少なくありません。そのため、今でも医師への接待や飲み会といった古い慣習が残っていることもあります。多忙な医師のスキマ時間に売り込みをかけるので、必然的に多忙になりやすく、仕事に振り回されてしまうこともしばしばあるでしょう。また、医師や病院関係者は気難しい人も多く、精神的に気疲れしてしまうことも多いようです。(ライター:二之形幸子)