品質管理 ~生産物の品質を守る番人~
仕事の役割 ~製品・食品などの品質向上や保証を担う~
品質管理(QC:Quality Control)とは、製造工場で生産される生産物の品質を管理・保証する仕事です。機械や電子機器、金属製品といった工業製品から、食品・薬品までさまざまな生産現場で品質管理の仕事が活躍しています。例えば金属ネジを生産する工場の場合、大きさが微妙に違ったり、不良品が混じっていたりしては顧客に安定した価値を提供できません。こうした個々の生産物の品質のバラつきを可能な限り抑え、管理することが役割なのです。信頼できるモノを提供するための「番人」だともいえるでしょう。
一般的に、品質管理は製造現場とお客様の橋渡し的な役割を果たします。工場などで生産される製品の品質の向上や品質管理のため、生産システムの全体を整備し、設計への指示を行うこともあります。不良品や粗悪品が出回ってしまってはクレーム問題にも発展しますから、製造工程で起こり得るリスクを回避するためにコントロールすることが重要です。
お客様やクライアントが望む品質のモノをいかに合理的・経済的に生産するかを考え、社内の全部署と密接に関わることになるでしょう。そのため、高いコミュニケーション能力や管理能力が求められます。
おおよその年収
品質管理の平均的な年収 500万円ほどです。比較的高めですが、製造工程や商品そのものに関して知識と経験ある人材が求められるポジションなので、簡単には就職できません。
求められる能力 ~問題を未然に防げるリスクマネジメント能力~
お客様やクライアントから良い評価を得られる製品や商品を生み出すためには、問題を未然に防ぎ、かつ問題が起きてもすぐにリカバーできるリスクマネジメント能力が求められます。また、製造工程での不具合や非効率性を見つけ出し、解決に導く論理的思考も大切です。もちろん解決策を導き出すには、モノづくりのシステムや製品や商品の知識を誰よりも把握していなければいけませんから、製造現場での経験と勉強熱心さも大切です。
お客様へ不具合を説明することや、製造現場へ指示を出すことも多いため、柔軟なコミュニケーション能力も求められます。ときには論理的に説明し、ときには現場の意見に真摯に耳を傾けなければいけません。
向いている人柄 ~細かいところにも目が行き届く観察力~
工業製品の場合、ごく小さなひびわれや大きさのばらつきが、ときに大きな不具合につながることがあります。食品工場の場合だと、製造工程の衛生管理の気のゆるみから食中毒事件が起きてしまうこともあるでしょう。そのため、細かいところにも目が行き届き、配慮ができる人が向いています。また、論理的思考ができる人は品質管理向きです。
ときにはクレーム対応もするので、お客様には説得力のある話をしなければいけませんし、問題をロジカルに導き出せる人は品質管理の仕事で活躍できるはずです。
仕事のやりがい ~問題を未然に防げたときの達成感~
品質管理はどちらかと言うと裏方的な存在ですが、結果としてお客様から良い評価を得られることができればやりがいにつながります。問題の大きさに関わらず、「品質のバラつきがなくなった!」解決に至った瞬間こそ、品質管理の仕事の醍醐味です。 また、問題解決をしたときの嬉しさだけでなく、将来の問題の種を未然に防げたと感じたときは、大きな達成感を得られるはずです。
仕事の辛いところ ~クレームと隣り合わせの辛さ~
お客様からのクレームと隣り合わせの品質管理。しかし品質を求めすぎると、現場から「そんなこと言われたら何も製造できない」と批判されることもあり、板挟みの状況になることもあるでしょう。また、常にスピーディーなスケジュールの見直しや方向修正などが必要になり、社内・社外関係者とすぐに調整を行うことも多々あります。タイトなスケジュールのなかで、柔軟に対応する必要があるので、体力的・精神的に大変なこともあります。(ライター:二之形幸子)