回路設計 ~電気・電子製品の根幹を担う~
仕事の役割 ~回路部品の設計を行う~
回路設計とは、電気機器や電子機器に内蔵されている電気・電子回路を設計するお仕事です。回路にはデジタル回路(パソコンやAV家電など電気・電子機器の情報処理をつかさどるもの)とアナログ回路(電源系や駆動系をつかさどるもの、自動車エンジンの出力をタイヤまで伝達する部品装置など)があります。デジタル回路とアナログ回路、どちらを担当するかは企業やポジションによって異なりますが、どちらも設計工程は以下の3つに分類されます。
●システム設計…機器を正しく動かすため、回路全体の構成を考えること
●論理設計…実際に必要な回路の構造を理論上で設計すること
●回路設計…論理設計を具体的に組み立てること
クライアントの要望や製品の仕様書に従って、回路がきちんと動くように論理構造を組み、試作と検証を繰り返し、地道に完成度を高めていく忍耐力が問われる仕事です。
おおよその年収
平均年収は約550万円と高めです。高度な専門知識が問われることと、ものづくりを目指す人材が減少傾向にあることから、レア度の高い希少な職種といえます。
求められる能力 ~最新技術とそれを習得する能力、コミュニケーション能力~
回路設計に求められるスキルとして、最低限必要なのが、電子回路や論理回路に関する基本的な知識と、仕様通りに設計するための論理的思考能力。そのため、多くの回路設計者は専門学校や大学などで電気・電子関連の教育を受けています。回路が内蔵されるパソコンやデジタル家電、自動車、ゲーム機器などは常に高機能でスリム・コンパクト化していますから、最新技術を身につけていることが求められます。また、常に技術革新が起きているので、積極的に新しい知識・ノウハウを習得する姿勢が大切です。
また、回路設計は仕様書にしたがって黙々と設計していくわけではありません。開発者や製造担当者とも密にコミュニケーションをとることも必要になりますので、コミュニケーションスキルも大切です。実際の業務では何度も検証を繰り返しますから、そのときに重要になるのがタイムマネジメント能力です。納期を厳守しつつ、よりよい回路を設計する能力が求められています。英語力があると、海外プロジェクトに参加できるなどの、活躍の場が広がりるでしょう。
向いている人柄 ~四六時中コンピュータのことを考えられる人
納期がある仕事なので、要領のいい人が向いています。これはつまり締め切り前の仕事を根性で乗りきるのではなく、効率のいいやり方を探せるような人です。また、回路設計者は休日も四六時中、コンピュータのことについて考えたりできるくらいの人が向いています。また、パソコンやデジタル家電はどんどん新しくなるものなので、流行にも敏感で好奇心旺盛な人が向いているでしょう。
仕事のやりがい ~最先端の製品を生み出す~
回路設計のやりがいは、常に最先端の電気・電子技術に触れられることです。自分の身の回りにある、デジタル家電やゲーム機など、身近な製品の回路設計をすることもあるので、手掛けた製品が店頭にならんだときには大きな手ごたえを感じられるはずです。クライアントが求める要件を達成できて、それが多くの人に喜ばれたときは、大きな満足感が得られますし、大変やりがいのある仕事です。
仕事の辛いところ ~ワークライフバランスとは無縁~
納期厳守の仕事なので、残業も必然的に多くなります。プライベートと仕事の境界線がなくなりやすい仕事とも言えます。ワークライフバランスとは無縁の仕事でしょう。また製品ありき、クライアントありきの仕事なので、どうしても振り回されてしまうことも多いです。とはいえ、エンジニアとしては年収も高く、今後も需要の高まっている職種であることに変わりありません。(ライター:二之形幸子)