データサイエンティスト ~データを通じて利益・価値を生み出す~
仕事の役割 ~データ分析を駆使する、時代の最先端をいく仕事~
データサイエンティストはITエンジニアの一種です。IT技術の進化によって情報社会が進み、世の中には多種多様の情報データが溢れるようになりました。その中でも大容量・複雑化したデータの集まりを「ビッグデータ」と呼び、データサイエンティストはそのビッグデータを分析・処理する人のことを言います。
情報のデータ処理や統計処理を行うことはもちろん、処理した情報をどうビジネス活用し、利益を生み出すかということを考え、予測モデルを立てていくのが主な仕事内容です。例えば、「ネットで商品Aを購入した人は商品Bも購入している」「あるサイトを訪れた人は、別のサイトにも訪れている」「このネット動画を最もよく視聴しているのは20代後半の男性」といったようなことが分かれば、マーケティングや広告展開などに大いに役立てることができるでしょう。データサイエンティストの仕事は常にビジネスと連動しています。一般的な職業と比べて、まだ認知度の低い職業ですが、年々この仕事への需要は高まりつつあります。まさに、時代の最先端をいく職業なのです。
おおよその年収
平均年収は約650万円。会社員として企業に所属することが多いようです。高度な専門知識やスキルが必要なので、年収も高めです。
求められる能力 ~高度なITスキルと数学と統計のスキル~
データサイエンティストに必要なスキルは、主にITスキル・データサイエンススキル・ビジネススキルです。具体的には以下のようなスキルが求められるでしょう。
●ITスキル……おもにWebを通じてビッグデータを扱うので幅広いIT知識が求められるでしょう。膨大な量のデータを手際よく適切に扱うことが求められるため、データベース関連のITスキルが必要です。
●データサイエンススキル……データ分析の共通語は数学なので、数学のスキルが求められます。さらに統計や確率、微積分を駆使してユーザーの行動の裏付けを取ったり、予測したりしていきます。
●ビジネススキル…データサイエンティストのミッションは、処理したデータで利益を出すことです。そのため、自分が携わるビジネスについて深く理解することも求められるでしょう。営業マンのように話術で相手を引き込むスキルではなく、分析の結論を簡潔にわかりやすく相手に伝えるスキルが大切です。
向いている人柄 ~数字が好きで論理的思考ができる人~
ビジネスや経済全般に興味があり、世の中の動きに敏感な人が向いています。高度な知識や技術を求められる仕事なので、自ら情報を集めたり分析したりすることが得意な人や、多種多様な情報をまとめられる人がデータサイエンティスト向きと言えるでしょう。また、統計やデータ分析の世界では感覚的で曖昧な表現は許されず、論理的思考力が求められます。
仕事のやりがい ~分析次第で企業に大きな利益をもたらすことも~
データサイエンティストは、高度な知識を駆使しながらデータ分析を行い、その分析結果によって企業の利益を生み出します。「この商品とこの商品は並べて売ったほうがいい!」「この広告プランでは、大きな損になる」といったことが事前に分かれば、クライアントや関係者から感謝され、やりがいにもつながるでしょう。また、近年誕生した新しい職業である分、職業の価値や地位を創っているという時代の最先端をいく感覚を味わえる仕事です。
仕事の辛いところ ~新しい職業ならではの「理解されない」辛さ~
データサイエンティストは、常に新しい知識を身に付けなければならないので、勉強嫌いな人にとっては難しい仕事になるでしょう。また、新しい職業なので、苦労して分析した結果を持っていっても「その結果が何の役に立つの?」などと言われてしまうことも多々あるようです。企業のほうでも本当にビジネスに役立つのか理解できていないことも多く、「なかなか理解されない」という辛さもあるようです。(ライター:二之形幸子)