ネットワークエンジニア ~現代に欠かせないネットワークの専門家~
仕事の役割 ~コンピューターネットワークの設計・構築・保守~
ネットワークエンジニアは、パソコンやスマートフィン、サーバーといったコンピューター同士のネットワークを設計・構築・保守・運用するエンジニアです。コンピューター同士をスイッチやルーターと呼ばれる機器でつなぎ、効率的にデータを送受信できるようにするのが主な仕事です。
当たり前のように動いているインターネットですが、一度に大量のアクセスがあっても遅延なくサイトを表示させたり、不審なアクセスを遮断したりさせるには、ネットワーク専門の技術とノウハウが必要です。ネットワークエンジニアはそうした技術に特化した仕事です。社会基盤を整える役割を果たすため、サーバーエンジニアとともにインフラエンジニアと呼ばれることもあります。
ネットワークエンジニアの仕事内容は主に3つに分けられます。
●ネットワーク設計……企業のネットワークを設計します。事業の発展に伴うネットワークの拡大や、ネットワークシステムの更新などを担当します。データ、コストやセキュリティに応じて、ネットワーク機器の選定、配置、設定について計画します。
●ネットワーク構築……ネットワーク機器の設置や設定を現地で行います。
●ネットワーク監視・運用……通常時運用、障害時運用、保守に分類されます。通常時運用では監視を行います。ネットワークに異変が生じた時、マニュアルに沿って正常な状態に戻すことが主な仕事内容です。障害時運用では原因の究明や回復作業などを行い、保守では定期的なメンテナンスを行います。
おおよその年収
平均年収は約460万円と一般的なSE・プログラマーと同程度です。もちろん、スキルと経験をレベルアップさせていけば、より大規模なネットワークの設計・構築に携わることができますすし、それに応じて給料も上がっていきます。
求められる能力 ~ネットワーク周りの高度な知識が必要~
コンピューターやルーター、スイッチなど、ネットワーク機器に対する専門知識・スキルを求められます。TCP/IPというプロトコルを基盤とするコンピュータネットワークや、データをスムーズに流すためのトラフィック制御やルーティングといった技術・知識のほか、近年では情報漏洩や不正侵入防止のセキュリティ技術についての知見も必須になります。
また、ネットワーク上で動くアプリケーション、受信データを処理するサーバーなど周辺知識もあるとよいでしょう。ネットワークエンジニアには特に必要な資格はありませんが、CCNA(世界で有名なネットワーク機器メーカーによる認定資格)を取得しておくと、信頼も得られるでしょう。また、LPIC(Linux技術者認定試験)というサーバーについての知識を問う資格を取得しておくと、ネットワークエンジニアの評価にも影響があります。LPICが重宝される理由は、各種サーバーをはじめ、多くのIT機器がLinuxをOSとして使用しているためです。
向いている人柄 ~時代の変化にも柔軟に対応できる人~
ネットワークエンジニアにかぎらず、IT業界のエンジニアにとって大切なのは、ITに対する興味です。好奇心や探求心が強く、疑問に思ったことは「なぜこうなっているのだろう?」と調べて、結論を出していけるような人に向いている仕事でしょう。
IT業界はネットワーク関連の技術はもちろん、プログラミング言語やOS、データベース等にいたるまで、あらゆる分野で新たな技術がどんどん出てきて、既存の技術や知識が通用しなくなることもあります。このような業界で働いていく以上、その変化の速さについていこうとする気持ちが必要です。
仕事のやりがい ~トラブルを防止&解決して、ネットワークが正常運転~
自分が設計構築したネットワークを企業やユーザーに使ってもらう喜びや、迅速にトラブルを処理したときなどは、ネットワークエンジニアとしての達成感を感じる瞬間でしょう。特に、大規模ネットワークの場合、検証やテスト運用の期間も長びくので、サービスが開始され運用がはじまるときには、やはり達成感を感じられることでしょう。
仕事の辛いところ ~身に着けた技術や知識も数年後には使えなくなる不安~
IT業界は日進月歩であり、やっと覚えたと思った知識や技術も、数年先にはほとんど使えなくなっているということも珍しくはありません。時代の変化についていけないようでは生き残ることができない世界であり、その時々に求められる最先端の技術を身につけ、仕事に生かしていかなくてはなりません。仕事に就いてからも知的探求心を忘れずに新しいことを吸収し続けていかなくてはならず、その点はこの仕事の大変なところだといえるでしょう。(ライター:二之形幸子)