ビル施設管理 ~巨大な装置・空間を維持する~
仕事の役割 ~大型施設の電力、空調、ボイラーを管理・保守する~
大型ビルや商業施設は、電力や空調、給排、ボイラーといったさまざまな設備が、複雑に絡み合って稼動しています。ビル施設管理者はこのような設備の管理・保守を担当します。勤務する場所は商業施設・オフィスビル中心ですが、なかにはホテルや大学のような大型施設を担当することもあります。
実際の勤務時には、施設管理者はビルの管理事務所を拠点に活動し、ボイラー室で様々な計器をチェックしたり、空気や排水の定期点検をしたりします。その他、建物の老朽化や電球交換、ビル利用者からの苦情対応など、その業務は多岐にわたります。近年ではビルに常駐せず、外部の監視システムからの遠隔監視することもあるようです。省エネによるコスト削減をどれだけ実現できるかは、この仕事の腕の見せどころで、最適な変電、ボイラーの出力調整、空調の清掃など無駄を見つけては、改善を繰り返します。また、ビルの価値を維持・向上させることはビル施設管理者の重要なミッションです。
おおよその年収
平均年収は約400万円で、大手企業であればあるほど年収が高い傾向です。ボイラー技士などの資格を取得すると、年収アップにつながることもあります。
求められる能力 ~設備関連の知識とノウハウ、さまざまな資格~
設備点検や不具合の解消のためにも、各装置の構造や仕組みを理解しておく必要があります。そのため、機械や電気、ボイラーに関する最低限の知識は必須です。危険を伴う設備や装置を扱うこともあるので、安全への責任感が求められます。
ビル施設管理者にとって、設備の不具合や故障が起きた時こそ、この仕事の腕の見せどころ。不具合を原因究明するには、仮説を立て、該当箇所の見通しをつけ、原因を突き止めます。さらに対策をする必要もあるので、論理的思考が求められるでしょう。このようなトラブルを的確に処理する冷静さも求められます。持っていると有利な資格は、ボイラー技士、建物環境衛生管理技術者、電気主任技術者、ビル設備管理技能士などがあります。
向いている人柄 ~気づける力と根気強さ~
日常業務としては、ビル内のさまざまな巨大装置を点検・確認する地道な作業がメインです。毎日、同じことの繰り返しになりますが、手を抜くことなく、コツコツ仕事する根気強さが求められます。
また、ビル施設管理者というと、設備や機械などと向き合う時間が多そうですが、住人や施設の利用者とコミュニケーションを取ることも多くあります。こうしたビル利用者との些細な会話から、「もしかしたら漏水が起きているかも」、「空調設備をもっと快適にできないか」と気づける人は、仕事を進める上でも有利に働くでしょう。また、設備の小さな変化にも気づくことのできる「マメ」な性格の人が向いています。
仕事のやりがい ~巨大ビルを動かす実感~
オフィスビルや商業ビルで利用者が快適に過ごせるのは、日々の点検を欠かさず、細心のチェックを怠らないビル管理施設者のおかげです。自分が巨大なビルを動かし、メンテナンスしているという手応えを感じられる仕事でしょう。また、ビル設備などは故障も日常茶飯事ですが、原因が究明して、設備がいつも通りに動きだしたときは、この仕事ならではの手ごたえを感じられるはず。ビル利用者から感謝されることも多いでしょう。
仕事の辛いところ ~「雑用係」になってしまうことも?~
24時間体制の仕事なので、いわゆる「宿直」があります。ビルの管理事務所で寝泊まりしますが、真夜中に異常が起きて、寝ることができない日もあるようです。また、勤務する施設によっては「雑用係」として何から何までコキ使われ、給料に見合わない働き方をさせられることもあるようです。とは言え、60歳を過ぎても現役で働くことができる、シニア世代には人気の職業です。(ライター:二之形幸子)