警備員 ~市民の日常生活を守る~
仕事の役割 ~駐車場の警備から現金輸送車の警備まで~
警備員は、その名の通り施設や人員、動産などを警備し、守ることが役割です。「警備員」という職業名でひとくくりにされますが、実際には警備業法という法律によって以下の4つに分類されています。
●施設警備(1号警備)
銀行やショッピングセンター、商業ビル、遊園地、駐車場など、人が集まる施設や場所などを警備します。一般的にイメージされる警備員とは、この施設警備でしょう。求人サイトで警備員が募集されるときも、おもにこの施設警備の募集が多く見られます。
●交通誘導警備、雑踏警備(2号警備)
工事現場などで交通整理をするのが主な仕事です。雑踏警備はお祭りやイベントなどで誘導を行ったりします。常に仕事があるわけではないので、臨時のアルバイトなどが担当することも珍しくありません。
●輸送警備(3号警備)
現金や貴金属、美術品、有価証券などの輸送時の警備をします。高度なノウハウが求められる仕事であり、警備会社の中でも専門の研修・トレーニングを積んだ人材が担当することが多いようです。
●身辺警備(4号警備)
政治家や企業の要人といった重要人物などに付き添って、その安全を守ります。万が一に備えた現場対応力が求められる仕事であり、輸送警備と同様に専門的なノウハウとトレーニングを積んだ人材が求められる仕事です。一般にボディーガードとも呼ばれます。
おおよその年収
平均年収は約260万円です。決して高い年収とは言えませんが、これは正社員よりも非正規雇用の人の占める割合が大きいことが年収を低くさせている要因です。ただし、身辺警備の仕事であれば、年収500万円以上を実現することもあるようです。
求められる能力 ~体力と忍耐力、臨機応変さ~
施設警備でも身辺警備でも、学歴も必要ありませんし、年齢制限もありません。なかには女性の警備員や80代でも現役で働いている方もいます。業務のほとんどはマニュアル化されているため、未経験であっても細かいノウハウは、入社後に研修などで身につけることができるでしょう。しかし、何はなくとも健康体でなければ勤まらない仕事です。ほとんどの警備は立ちっぱなしでの業務となるので、少なくとも半日程度は立っていられるくらいの体力が求められます。
また交通整理などでは、マニュアル通りにいかないことが多く、その場にあった判断を、即座にしなければいけませんので臨機応変さが求められます。逆に、トラブルも何も起こらなければルーチンワークがほとんどなので、その単調さに耐える忍耐力も必要になります。輸送警備や身辺警備の仕事では、万が一に備えた臨戦態勢を強いられるので、特に肉体的・精神的なタフさが求められるでしょう。
向いている人柄 ~昼夜逆転しても平気でいられるタフな人~
施設警備などは深夜労働になることもあるので、昼夜逆転しても平気な人が向いています。また、基本的にはルーチンワークになりますので、モチベーションを維持するのが大変です。自分から積極的に「仕事のやりがい」をみつけていける人は長続きします。また、突発的なトラブルに遭遇しても臨機応変に対応できる人は、警備員としていい仕事をするはずです。
仕事のやりがい ~通行人とはいつの間にか顔見知りに?~
「真夏日も雨の日も、外で長時間立っている」「万が一の非常時には、体を張って対応しなければいけない」など、辛い仕事に思われがちですが、仕事のなかに「ささやかな楽しみ」をみつけられるかどうかがキーポイントです。毎日の安全を守る仕事なので、多くの人に感謝されますし、施設警備では近所の人たちと顔見知りになることもあります。
仕事の辛いところ ~肉体的な辛さと緊張感~
施設警備や交通誘導警備の場合、基本的にはどんな状況でも立ち続けなくてはいけないので、辛い仕事には違いありません。また、ルーチンワークなので仕事時間が長く感じてしまいます。一方、輸送警備や身辺警備の場合は、万が一に備えて常に周囲に目を光らせていなければならないので、毎日が緊張の連続です。こうした辛さに耐えてこそ、一人前の警備員と言えるでしょう。(ライター:二之形幸子)