理容師 ~理想のヘアスタイルを提供するプロフェッショナル~
仕事の役割 ~顔そりは理容師だけができる技術~
理容師はお客様のシャンプーやカット、シェービング(顔そり、ひげそり)などをおこなう、ヘアスタイリングの専門家です。理容院を利用するのは、男性や子ども、近所のお年寄りのお客様が多いので、ただ単純に髪を切るだけではなく、お客様の要望や好み、ヘアや頭皮の状態などを見極めながら、お客様の髪をカットし整えていきます。また、常連として通うお客さまも多いので、好みや髪の特質などは細かく把握しておくようなきめ細かな気配りこそが、常連客の心をキャッチするコツでしょう。個人経営の理容室に勤務するほか、格安カットの全国チェーン店に勤務するキャリアもあります。
美容師との違いがしばしば話題になりますが、まず理容師資格と美容師資格は完全に別個のものとして扱われます。そのうえで法律上の明確な違いは、顔そり(ひげそり)ができるかどうか。理容師は顔そり、ひげそりをおこなうことが認められていますが、美容師は認められていません。逆に、美容目的でのパーマ、カラーリング(染髪)は美容師だけの仕事であり、理容師がおこなうことはできません(男性向けの調髪の一部としてのパーマであればOK)。ざっくり分けると、
・理容師は「カットやシェービングで頭髪やひげを整える」のが仕事
・美容師は「カットやパーマ、カラーリングで容姿を美しくする」のが仕事
ということになります。とはいえ、容姿を整える目的であれば、美容師も簡単な顔そりをおこなってもいいとするなど、最近はその区別はあいまいになりつつあります。実際、理容師と美容師、両方の資格が取得しやすくなるような動きも見られます。
おおよその年収
平均年収は約310万円で、あまり高くはありません。1000円前後でカットできる格安店が増えつつあり、個人経営の理容室だと経営が難しくなりつつある……といった光景も見られます。
求められる能力 ~専門資格とお客様をリラックスさせる話術~
理容師として仕事するには、理容師の国家試験に合格しなければいけません。理容師の養成課程がある専門学校で2年間(通信の場合は3年)学び、所定の課程を修了した後、国家試験へ向けて勉強する必要があります。その上で、お客様に似合うヘアスタイル、オーダーに合ったヘアスタイルを提供するには、髪の毛に関する専門知識や確かな技術とノウハウが求められます。
もちろん、カットの技術だけではなく、お客様に気持ちの良いサービスを提供するための、接客スキルも必要不可欠です。「また来たい」と思ってもらうためにも、笑顔や適切な言葉遣い、コミュニケーション力をはじめとした、気配りが大切になります。最近は1000円カットなど、早さと安さを追求するお店も増えましたが、ただカットするだけではなく、ヘアスタイルやファッション、流行をチェックするアンテナや向上心が大切です。
向いている人柄 ~基本は立ち仕事なので、体力勝負な面も~
理容師に向いているのは、ファッションやヘアスタイルに興味があり、人と接することが好きな人でしょう。コミュニケーションスキルが高く、接客上手な人は、常連客がつきやすく、売り上げ増にもつながっていきます。手先が器用な人だと、お客さまの細かいオーダーにも応えることができるので、重宝されるはずです。また、理容師の仕事は立ち仕事が基本なので、数時間立ち続けても平気なくらいの体力がなければ務まりません。
仕事のやりがい ~定年がない仕事~
自分の理容スキル、接客スキルを磨いていくことにやりがいを感じられる仕事です。指名を受けることも多く、お客様からの信頼を得られれば、大きな手ごたえがあるでしょう。「ありがとう」と言われことが多く、自然と自分が笑顔になれるでしょう。また、基本的に「定年のない仕事」とも言われており、腕とやる気次第で何歳になっても継続して続けられる仕事です。実際に、“街の理容師さん”として地域の人々に何年も愛され続けている人も大勢います。
仕事の辛いところ ~給与水準が低く、モチベーション低下~
給与が高くはない、というところがこの仕事の辛さでしょう。特に近年は1000円カットなどのチェーン店に押され、経営が困難になっている個人経営の理容室も少なくありません。また、お客様商売なので、どんなときでも、笑顔で対応しなければいけません。お客様によっては、気に入ったヘアスタイルにならず、クレームをつけられることもあります。とは言え、自分のやる気次第で、長く続けられる仕事ですし、まさに「自分の技術」で稼いでいると誇れる仕事には違いありません。(ライター:二之形幸子)