トラック運転手 ~荷物を運送する流通のかなめ~
仕事の役割 ~最近では、女性ドライバーを増やす動きも~
トラック運転手は、荷物を指定の場所まで届けることが仕事のです。運ぶ荷物は、所属する企業やその顧客によってさまざま。生活雑貨から引っ越しの家具、生鮮食品、郵便物まで多種多様です。ただ荷物を到着地まで運べばいいわけではなく、決められた時間内に、事故や積み荷の破損を起こさず、安全運転で運ぶことを心がけなければいけません。届け先で積み荷の上げ下ろしをすることもあるため、体力的・精神的にも疲労度が大きい仕事です。
基本的に高速道路を経た長距離を輸送することが多く、パーキングエリアなどに駐車してトラックの中で睡眠をとることもあります。生活も不規則になりがちですが、人間関係のわずらわしさがなく、長時間ひとりで運転ができることから、人間関係でのストレスの少ない仕事と感じる人も多いようです。トラックの種類には大型・中型・小型・軽貨物・トレーラーなど、さまざまあり給料や仕事内容も違ってきます。近年では、トラックの運転手不足という事情から、女性ドライバーを増やそうという「トラガール促進プロジェクト」などの動きもあり、女性にも働きやすい環境が整いつつあります。
おおよその年収
平均年収は約390万円。拘束時間と比較するとやや低めの給料となっています。とはいえ、トラックの運転中は比較的自由なスタイルで仕事できることから、給料の低さを気にしない人もいます。
求められる能力 ~運転好きなら、未経験からでもスタートできる~
当然ながら運転免許が資格として要求されます。現在、普通自動車免許でも2トントラックまでは運転可能ですが、第一種大型自動車免許を取得すれば、大型トラックやトレーラーを扱うこともできるので、仕事の幅も広がるでしょう。免許さえあれば、トラック運転手には学歴や年齢、性別も関係ありません。
このように、誰にでもできる敷居の低い仕事ですが、長く仕事を続けるには安全運転の意識の高さが求められます。また、1日の大半を車中で過ごすので、そもそもクルマの運転が好きかどうかも重要な資質のひとつになります。安全に車を運転する技術力や注意力、集中力が求められる仕事で、時間をきちんと守る、責任を持って仕事に臨む姿勢が重要です。荷物を届けるために運転をすることが仕事の中心ですが、人と明るく接することができれば、顧客からも好かれる運転手になれるでしょう。
経験を積むうちに身につきますが、地理に詳しいと休憩所やパーキングエリアをすぐに見つけられるなど、仕事をする上でのメリットにつながっていきます。
向いている人柄 ~運転中の時間を楽しめる人~
長距離輸送が多く、運転は深夜まで及ぶことが多々あります。夜に強い人、心身が丈夫な人でないと務まりません。運転中は1人の時間が多く、そのような時間を苦痛に思わない、楽しめるくらいの人が向いているでしょう。他の職業と比べると、人づきあいが少なく気楽な面もありますが、人当たりが良ければ、「またあの人に頼もう」と思ってもらえ、次の仕事にもつながっていくので、明るい人が向いています。
仕事のやりがい ~人間関係の煩わしさがない、遠出できる自由さ~
人間関係のわずらわしさに悩みたくない人にとって、トラック運転手は天職にもなり得ます。運転中はラジオや音楽を聞くなど、運転に差し支えない程度の娯楽を楽しめますし、ドライバー間に広がる「トラック無線」など、トラック運転手ならではのコミュニケーションツールなども広がっています。また、様々な地域に行けるのもトラックドライバーの魅力のひとつ。日本各地のグルメや風景を楽しめるなど、自分の工夫次第で仕事を楽しめるようになります。
仕事の辛いところ ~不眠・不休の長距離運転、トイレ探しも一苦労~
トラック運転手は運転中、トイレ探しに困ることがよくあります。大型トラックだと、駐車場を探すのにも一苦労。そのため、トラックの中に簡易トイレを備えつけている人もいます。
また、雨の日は運転手にとっても危険です。路面が滑りやすく、荷物の積み下ろしもいつもより気を使わなければいけないので、肉体的・精神的な疲れもいつもの2倍になります。もちろん、長距離運転で時間通りに荷物を届けなければならないので、疲労もたまりがちです。とは言え、仕事の人間関係に疲れた人にとって、第2の人生の転職になる可能性も秘めた仕事と言えるでしょう。(ライター:二之形幸子)