スタイリスト ~モデルやタレントのファッションコーディネーター~
仕事の役割 ~イメージの共有、コーディネート、衣装のリースまで~
スタイリストは、テレビや雑誌などの媒体に合わせて、タレントやモデルの衣装や小物を、クライアントの指示に従ってコーディネートしていくのがおもな仕事です。実際の仕事では、まずクライアントや広告代理店などから仕事の依頼があり、打ち合わせをします。「こんなイメージのポスターなので、それに合わせた衣装にコーディネートしてくれ」「こんなシーンの撮影にはどんな衣装がいいか?」といった具合です。
要望に沿って、ファッションイメージを提案し、OKが出たら衣装や小物などの衣装協力をしてくれるブランド、メーカーなどからリース(衣装をレンタルで取り寄せ)。撮影中は、モデルのコーディネートはもちろん、衣装直しや映り具合のチェックまでおこないます撮影後はリースした衣装を期日までに返却するのも仕事のひとつです。
スタイリストになるためには、アシスタントとして業界に入り、修行を重ね、それから一人前のスタイリストとしてデビューする人がほとんどです。大きく分けて、スタイリスト事務所に所属するか、その後、フリーランスとして独立するかの2つのキャリアがあるでしょう。フリーランスになる場合は、上記のような仕事に加えてメディアや広告代理店への営業活動もおこなう必要があります。
おおよその年収
スタイリストの平均年収は、トップスタイリストとアシスタントスタイリストでは大きな開きがあります。フリーで活躍するスタイリストも多く、一概に平均年収を出せない職業のひとつです。アシスタントの場合、平均年収は約250万円。業界トップのスタイリストとなれば、平均年収は800万円以上という人もいます。
求められる能力 ~ファッションセンスとコミュニケーションスキル~
ファッション業界の中でも「花形」的な存在のスタイリスト。言わずもがなですが、まずはファッションセンスのあることが第一条件。特にコーディネート力やファッションのバランス感覚がとても重要です。センスとは、なかなか難しいものですが、漠然と自分の中にバランスの良い洋服の着こなしのこだわりがあり、それが多くの人に受け入れられる感性があることです。また「○○なイメージで」というクライアントの要望を、具体的なコーディネートに落とし込む能力も問われます。
スタイリストは、モデルやタレントはもちろん、ディレクター、制作スタッフ、フォトグラファーなど、あらゆる人とのチームプレイが必須。たくさんの人と接するので、コミュニケーション能力がとても大切です。現場の雰囲気づくりがうまく、初めての人とも円滑にコミュニケーションできることが求められます。そのような人は、売れっ子スタイリストになれるともいえるでしょう。その他、大量の衣装を運び、一日中立ちっぱなしで撮影できるほどの、体力もなければ務まりません。衣装を運んで撮影現場まで向かうことも多いので、自動車の運転免許もあるとよいでしょう。
向いている人柄 ~フットワーク軽くタフ、流行に敏感~
まず当たり前ですが、ファッション、おしゃれが好きであることは重要です。常にファッションの流行を追い、自分の知識・経験として蓄えられる人でなければ、活躍するのは難しいでしょう。
加えて、スタイリストは体力のある人しか務まりません。店やメーカーを駆け回り、たくさんの衣装や小道具を揃えなければならないので、仕事も想像以上にハード。撮影やロケのスケジュールに左右されるので、休みや勤務時間も不規則です。自分でコントロールしながら睡眠時間を確保できるくらいの、タフな人が向いています。また、どんなときも臨機応変に対応できると、現場でも重宝されます。
仕事のやりがい ~好きなことを仕事にできる充実感~
ファッション好きな人が、スタイリストとして「好きなこと」を仕事にできるのは、それ自体がとても幸せなことでしょう。自分の感性を活かしたコーディネートで、モデルやタレントが輝き始めた瞬間、クライアントに喜んでもらえたときこそが、この仕事のやりがいです。「ファッションを一生の仕事にしたい!」と考えている人にとっては、この仕事に就くことで、より豊かな人生を送れるようになるのではないでしょうか。
仕事の辛いところ ~不規則な生活と厳しいアシスタント時代~
ドラマや映画に登場するスタイリストは、華やかな業界人という感じですが、実際の仕事はとても地味です。特にアシスタントのときは裏方の仕事に徹しなければいけないでしょう。衣装をリースして現場に行き、仕事をこなし、借りた服を返却する、毎日がそのような流れ作業の繰り返しです。華やかな部分だけに憧れてスタイリストをめざすのは長続きしません。また、勤務時間や休みも不規則で、好きなことを仕事にしているものの、プライベートな時間を作りにくい辛さもあります。(ライター:二之形幸子)