客室乗務員 ~空の旅を安全・快適にサポートする~
仕事の役割 ~航空機内のサービス提供、パイロットの補佐~
客室乗務員はキャビンアテンダント(CA)とも呼ばれ、飛行機に搭乗するお客さまをきめ細かなサービスで迎え、快適な空の旅をサポートするのが役割です。おもな仕事内容は「機内サービス」と「保安管理」の2つに分かれます。
●機内サービス…乗客に機内食や飲み物の提供などサービス全般を提供する業務
●保安管理…乗客の安全管理や緊急時の対応・説明など安全な運航を守る業務
大手航空会社の場合、専門学校以上の学歴が条件ですが、実際には大卒以上の客実乗務員が大半であることも事実です。学歴以外も年齢や身体条件、TOEICのスコアなど、いくつかの必須条件があります。また、かつてはスチュワーデスという名前で女性のあこがれの職業のひとつでしたが、近年では航空会社も多様化しており、男性の客室乗務員を採用している会社もあります。
おおよその年収
平均年収は約470万円。LCCなど格安航空会社が増えたことで契約社員として働く人も増えており、給与は必ずしも高いとは言えない状況になっています。また、LCCの客室乗務員の場合、年収400万円を下回ることもあるようです。
求められる能力 ~航空会社の多様化で求められるスキルもさまざま~
まずは航空機運行に関するさまざまな知識が必要です。パイロットを補佐するために航空機の安全運航に関して専門知識が求められます。また、英語をはじめとした外国語スキルもほぼ必須と考えていいでしょう。また、航空会社も多様化しており、どのスキルが重視されるのかも多少異なります。
●LCC(格安航空会社)
多くの乗客を相手にすることになるため、特に接客スキルが求められます。搭乗便数も少なくないので、体力も重要でしょう。
●日系航空会社
客室乗務員の基本ですが、笑顔と自己管理能力、体力が大切です。競争率の高い職業なので、塾や専門学校でノウハウを学ぶ人も多いようです。美しい立ち振る舞いを身につけるために、普段から心がけることが大切でしょう。
●外資系航空会社
外資系の客室乗務員になるには、水泳テストがある場合もあります。また、英語が必須条件であるほか、本社が所在する国の母国語も習得している必要があるでしょう。
また客室乗務員は、見た目以上に体力的・精神的にハードな仕事。長時間の立ち仕事、時差ボケにも負けない人は活躍できるでしょう。普段から、自分の言動を自己点検するような自己管理への厳しさも大切です。
向いている人柄 ~いい意味で“図太い”人~
客室乗務員のイメージは、才色兼備で華やかなイメージですが、緊急トラブルや乗客からのクレームにも落ち着いて対応できる人が向いています。また、立ち仕事や不安定な就業時間にも付いていける体力的なタフさも重要です。そういった意味では、いい意味で“図太い”人は活躍できるでしょう。その上で、他者の笑顔を見ることが好きなホスピタリティ精神のある人は、より向いていると言えます。
仕事のやりがい ~毎日が非日常の刺激あふれる世界~
待遇がやや悪くなったとはいえ、客室乗務員は今もあこがれる人が多い職業です。普通の仕事ではありえない非日常の世界であり、「今週はイタリア、来週はパリ」というように、世界各国を飛び回ることができます。
また、世界各国のお客様と接することはもちろん、航空業界という一般人の目にすることがない業界の裏側を見ることもできます。もちろん、さまざまな乗客の笑顔が見られることも、この仕事の大きなやりがいでしょう。
仕事の辛いところ ~転職には客室乗務員の経験が不利になることも?~
客室乗務員として就業すると、メイクやヘアスタイルに決まりがあるなど、様々な面で制約があります。気圧や時差の関係から、体調不良におちいる人も珍しくはありません。最近は契約社員が多いなど、結婚退職の多い、長くは勤められない職業になりつつあります。また、航空業界は他業界と比べて特殊なので、客室乗務員から別業界へ転職するときに敬遠されやすい面もあるようです。(ライター:二之形幸子)