ホテル支配人(総支配人)~ホテル運営の先頭に立って舵を取る~
仕事の役割 ~ホテル経営の最高責任者~
ホテルの総支配人は、会社でたとえると、最高責任者としてホテルの経営や舵取りをする存在です。ホテル全体の運営方針に責任を持ち、主要人員を配置・指導し、宿泊客に対するサービス品質を高めるようにするのが主な仕事です。
ほとんどの場合、個々の宿泊客が接することになるのは個別の現場スタッフですが、こうしたサービス方針は、ホテル支配人の管理・責任のもとで決められています。そのため、ホテル支配人はホテル業務に関する知識と経験が必要となります。まずはホテルに就職をして、ホテルスタッフとして現場の仕事をしながら、キャリアアップしていくのが現実的でしょう。
毎日、さまざまな仕事に追われるホテル総支配人ですが、ホテルの施設や設備のチェック、スタッフのサービスチェック、お得意様の接待、ホテルの経営状況を確認して、ホテルとしての経営方針や計画などを考えるなど、多岐に渡ります。
おおよその年収
年収は、ホテルの規模や業績によって異なります。格式ある高級ホテルであれば年収800万円ということもありますが、小規模なビジネスホテルであれば年収400万円程度のケースもあります。
求められる能力 ~ホテル経営全般の知識と経験、接客経験~
ホテル支配人になるためには特別な資格や免許は必要ありません。しかし、ホテル経営に関する業務全般について精通している必要があり、同時に経営者としての視点も求められます。まずはフロントスタッフとして優れた接客方法を学び、どのようなお客様にも丁寧に行き届いた対応を身に着ける必要があります。また、ホテルはトラブルなども起きやすい環境です。感情的になったお客様に対しても冷静に対応する必要が出てくるでしょう。
さらに、ホテルの最高責任者でもあるので、業績や日々の売上、費用について把握し、安定した収益を計上していくことが大切です。財務・会計に関する能力も求められるでしょう。また、ホテル支配人はお客様がホテルに対して何を望んでいるかを把握し、ホテルのサービスに反映させなければなりませんので、プロモーション能力・マーケティング能力も必要となります。
向いている人柄 ~ホスピタリティ精神と経営者精神がある人~
人のために何かをしてあげたい、人が喜ぶ姿を見たいなどサービス精神やホスピタリティのある人が向いています。特に、ホスピタリティはホテルスタッフにとっても絶対に必要なものです。一方、サービス精神だけではなく、経営者としての資質が求められるので、トレンドに詳しい、集客能力のある人が向いているでしょう。外国の方と接触することも多いので、英語に抵抗のない人が向いています。
仕事のやりがい ~ホテルを自分の手で動かしている実感~
ホテルの総支配人になるには、いくつもの部署で経験を積む必要があります。マナーやホテルの知識、語学力など、高いレベルを兼ね備えた人ができる仕事です。そのようなポストに誇りを持つことができますし、最高責任者としてのやりがいも大きいでしょう。業績悪化や不祥事などが起これば総支配人の責任となりますが、ホテルを自分の手で動かしていると実感できることにやりがいがあります。
仕事の辛いところ ~最高責任者だからこそ、弱音を吐けない辛さ~
不景気・観光業界の変化などで、ホテルの業績が悪化したときでも総支配人の責任にもなるので、プレッシャーも人一倍です。どうしても数字が上がらず追い詰められてしまうこともあるようです。ホテル業は一見華やかそうに見えますが、裏ではかなり大変な業界です。離職率も他業種よりもやや高めです。追い詰められても、最高責任者として弱音を吐けない点も辛いところです。(ライター:二之形幸子)