バス運転手 ~路線バスから送迎バスまで幅広く活躍~
仕事の役割 ~バスの種類で仕事内容もさまざま~
バス運転手はその名の通り、バスに人を乗せて目的地へと運ぶことが基本的な業務となります。しかし、その種類・目的によって仕事内容も変わってきます。
●路線バス…一定区間のエリアを運行
路線バスの運転手は大型2種免許(大型自動車第二種運転免許)を取得した人にのみ就業することができます。決められた路線を運航しつつ、乗客への案内なども行います。終点ギリギリまで運行することも多いため、体力的な負担もあります。また、毎日、たくさんの人を乗せるので、安全運転はもちろん、人当たりのよさや清潔感のあることが求められます。
●高速バス…高速道路を利用し長距離区間を運行
高速道路を長時間運転する必要があるので、路線バス運転手などの業務経験が求められるケースが多いです。深夜バスの場合、交代制で勤務するケースもあります。最近は長時間労働による事故も多く、労働環境の改善を求める声も少なくありません。
●観光バス…ツアー客を乗せて観光地を回る
観光客と共に現地に宿泊することもあるので、フットワークの良い、サービス精神旺盛な人が求められます。繁忙期と閑散期とでは業務量も変化しやすく、柔軟に対応することが大切です。観光客と旅行の間は共に行動することが多く、コミュニケーション能力の高さも求められます。
●送迎バス…幼稚園・介護施設・塾やスポーツクラブの送迎
施設が所有している車両であれば大型2種免許は不要です。通常の大型1種免許(もしくは普通1種免許)のみで運転手になることができます。送迎バスの場合は、ほかのバス運転手に比べると経験はあまり求められませんが幼児や高齢者の送迎が多いので、安全意識とコミュニケーションスキルの高い人だとよいでしょう。
どのバス運転手であっても、基本的には高度な運転スキルと安全運転のノウハウが求められます。もちろん、乗客への案内も重要な仕事のひとつです。
おおよその年収
平均年収は約450万円。民間のバス会社よりも、市バスなど公営バスの運転手の方が、給料が良い傾向です。ただし、乗客数の減少などに伴い、市バスも最近は赤字経営のところも多いようです。
求められる能力 ~免許と運転能力、安全意識の高さ~
バスの運転手になるには、大型二種自動車運転免許が必要です。この免許はバスなどの大型車両に乗客を乗せる場合に必要な運転免許で、普通自動車免許とは別の試験を受けて合格しなければいけません。受験資格は「21歳以上で普通自動車免許か大型一種自動車運転免許、大型特殊自動車免許の取得後3年以上が経過していること」です。
試験科目は「適性試験(視力・色彩能力・深視力・聴力・運動能力)」「学科試験」「技能試験」の3種類で、合格率もやや低いようです。命を預かる仕事なので、採点基準もかなり厳しく設定されています。路線バス・高速バス・夜行バス、観光バスの運転手として働く場合、この免許は必須です。
また、最近では格安バスツアーや夜行バスなどの事故も多く、運転手の労働環境の厳しさも明るみになってきました。バス会社に安全運行実現への取り組みが求められるのはもちろんですが、個々のバス運転手にも、「大勢の命を扱っている」という意識が強く要求されるでしょう。その他、乗客に対する案内や説明などの面でコミュニケーション能力も求められます。
向いている人柄 ~健康管理ができて健康を過信しない人~
バス運転手が最も気を付けなければならないのは、安全運転をすることです。体調が悪い状態や寝不足で乗務してしまうと、安全運転に支障が出る可能性が高まります。規則で、乗務前には必ず健康チェックを行いますが、運転手として働く以上、普段から健康には十分に気を付けていなくてはなりません。不規則な時間の運転も出てくる運転手の場合は、常に自分自身の心身の状態を理解し、健康管理のできる人が向いているでしょう。
仕事のやりがい ~上司や部下など人間関係のわずらわしさがない~
バス運転手は基本的にひとりで運転をします。会社員のように上司や部下と働くということは少ないので、その辺の人間関係のわずらわしさはない仕事だと言えます。また、幼稚園やスポーツクラブなどの送迎バスの場合は、「バスの運転手さん!」と頼られることも多く、毎日送迎するのが生きがいにもつながるでしょう。降車際にお客さまから「ありがとう」と言われることもやりがいです。
仕事の辛いところ ~きつい労働環境を強いるバス会社も~
長距離バスや夜行バスの運転手の場合、肉体的にも精神的にも厳しい労働環境であることには変わりありません。事故を起こせば大問題になりますし、運転中にトイレや具合が悪くなっても席を外すわけにはいきません。また、バス内の環境にも目を配り、乗客間のトラブルなど常に目を光らせてなくてはならず、非常に神経を使います。また、最近では収入も減少傾向にあります。給与制度や研修制度など、きちんとしたバス会社の運転手になることが、長く続けられる秘訣でしょう。(ライター:二之形幸子)