マンション管理士 ~管理組合のサポートと調整を担う~
仕事内容の役割 ~マンション管理に必要な利害調整、会計などをバックアップ~
マンション管理士の仕事は、マンション管理組合のサポートとコンサルティングをおこなうことです。マンションには一棟の建物にたくさんの世帯が住み、専有部分・共用部分・敷地利用権といった権利関係が複雑な面もあります。そういった複雑な権利関係と利害関係を調整するため、マンション管理組合が設けられるのですが、組合員は住人なので、マンションの維持や運営についての知識があるとは限りません。そこでマンション管理士のような専門知識をもったコンサルタントが必要とされるのです。
具体的な業務としては、管理費・修繕積立金の会計監査、予算案の作成、総会・理事会の運営、管理規約の改正などを行います。また、外壁の張替えなどといった大規模修繕に備えた修繕積立金の取り扱い、大規模修繕工事の施工会社選定や諸手続きなどの代行も行います。マンションに常駐している「管理人さん」とは異なり、マンション維持管理のプロフェッショナルとして専門知識を活かすことが求められます。
おおよその年収
平均年収は約400万円ほど。マンション管理士だけではなく、宅地建物取引士や2級ボイラー技士の資格を持っていると、その他の業務も兼務でき、年収も500~600万円ほどにアップするようです。
求められる能力 ~24時間365日フル稼働! 体力に自信があること~
マンション管理士は法律上定められた独占資格はありませんが、マンション管理士と名乗るには試験に合格しなければなりません。また、民法・区分所有法・建築基準法・消防法などの専門知識も求められるでしょう。他にも、会計の知識や建築設備に関する知識が求められますので、勉強熱心でなければいけません。
マンションによっては、何千人もの住人が居住している棟もあります。何かトラブルがった場合には管理規約などを確認して対処をしなければいけないので、そのような状況でも冷静沈着に対処できるスキルも必須です。ケンカの仲裁が得意な人はマンション管理士により適していると言えるでしょう。
さらには、マンション管理士の仕事は24時間365日求められるといっても過言ではありません。急なトラブルや要望にも対応できるよう、体力に自信があることも重要です。
向いている人柄 ~デスクワークと交渉が好きな人~
マンション管理士の仕事内容はいずれもがデスクワークや交渉事がからみますので、それらが苦手だと勤まりません。書類と向き合いながら、多数の関係者の間に立って調整役をこなせる人が向いているでしょう。また、マンション管理士は地味な仕事も多く、ひたすら裏方に徹する仕事とも言えます。そういったことをコツコツと真面目にできる人に向いている仕事です。
仕事のやりがい ~専門知識で住人トラブルも解決できる~
マンションの住人が安心して暮らしていけるよう配慮し、悩みに応えていくことができるマンション管理士の仕事は、感謝されることも多く、やりがいもあります。また、大型マンションなど多くの人が集うマンションはさまざまな問題が生じます。住民同士のトラブルはもちろん、騒音問題、ペット問題、共有スペースの使い方など。そういった問題をひとつひとつ解決できしていくことが、自分の仕事の達成感につながるでしょう。
仕事の辛いところ ~住民トラブルに巻き込まれてしまうことも~
マンション管理士の仕事は多岐に渡ります。膨大な業務内容を効率よく進めるには、やはり円滑な人間関係を維持するためのコミュニケーション力がとても大切です。住民を気遣って細かい雑務までやらなければならないという大変さはありますが、それがきっかけで住民と心が通うようになり、マンション管理士のやりがいにつながることもあります。(ライター:二之形幸子)