「マンション管理」ってどんな仕事? 必要な資格、年収、キャリアパスを解説
マンション管理の仕事に興味を持っているけれど、具体的にどんな業務があるのか、必要な資格やキャリアパスについて知りたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
本コラムでは、マンション管理の仕事の概要や、就職やキャリアアップに有利な資格、さらに年収や働き方について詳しく解説します。マンション管理の世界に飛び込むための第一歩として、ぜひ参考にしてください。
「マンション管理」の仕事内容
マンション管理とは、マンションの維持・管理を行う業務全般を指します。具体的には、以下のような業務が含まれ、これらの業務を通じて、マンションの資産価値を維持・向上させることが求められます。
1.清掃業務
共用部や敷地内の清掃を行い、住民が快適に過ごせる環境を維持します。
2.修繕業務
建物や設備の点検・修繕を行い、安全性を確保します。大規模修繕の計画や実施も重要な業務です。
3.住民対応
住民からの問い合わせやトラブルに対応し、円滑なコミュニケーションを図ります。
4.会議の運営
管理組合の会議を運営し、議事録の作成や決議事項の実行をサポートします。
多岐にわたる業務を効率よくこなすためには、幅広い知識とスキルが必要です。仕事のやりがいとしては、住民からの感謝の言葉や、快適な住環境を提供できた時の達成感が挙げられます。また、適切なキャリアアップにより年収向上も期待できます。
「マンション管理」に必要な資格
マンション管理の仕事に就くためには、必ずしも資格が必要というわけではありません。しかし、資格を持っていることで、就職やキャリアアップに有利になることがあります。以下に代表的な資格とその取得に必要な知識を紹介します。
1.管理業務主任者
管理業務主任者は、マンション管理業者が法的に義務付けられている資格です。マンション管理会社は、管理業務主任者を一定数配置することが義務付けられているため、この資格を持つことで求人の選択肢が広がります。
管理業務主任者は、管理組合の運営や建物の維持管理に関する助言・指導を行い、住民の生活環境の向上を図る重要な役割を担います。
資格試験は年1回実施され、試験科目は「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」「建物の区分所有等に関する法律」「建物の維持保全に関する知識」などです。試験はマークシート形式で、選択肢の中から正しいものを選ぶ形式です。
管理業務主任者の資格取得によって、就職・昇進に有利になり、管理会社やマンション管理組合からの信頼を得やすくなります。法律や管理に関する専門知識が身につくため、日常業務の効率化やトラブル対応力の向上にもつながります。
2.マンション管理士
マンション管理士は、マンション管理の専門家としての知識を証明する資格です。この資格を持つことで、管理業務全般にわたる高度な知識と技術を有していることを示すことができます。
マンション管理士は、管理組合や管理会社の相談役として、トラブルの解決や長期的な管理計画の立案など、専門的なアドバイスを提供します。
資格試験は 年1回実施され、試験科目は「マンション管理士に関する法律」「建物の区分所有等に関する法律」「マンション管理に関する実務知識」などです。試験は筆記試験形式で、事例問題や論述問題も含まれます。
マンション管理士の資格取得によって、専門知識の証明となり、信頼性が向上します。また、複雑な管理業務や法律問題に対処できる能力が身につき、管理組合や住民からの信頼を得やすくなります。独立してコンサルタント業務を行う道も開かれます。
なお、一般的にはマンション管理士の方が管理業務主任者よりも、資格試験の難易度は高いと言われています。試験範囲はマンション管理士の方が広く、試験内容も、管理業務主任者はマークシート式ですが、マンション管理士は事例問題や論述問題を含み実務的な深い理解が求められるからです。
3.その他の関連資格
この2つ以外にもマンション管理に役立つ資格があります。あわせて取得することで、住民からの相談やトラブルに対処しやすくなったり、大規模修繕や改修工事の際に、専門的な視点で計画や監督ができるようになったりします。設備の維持管理や点検が自分で行えるようになるというメリットもあります。
宅地建物取引士は、不動産取引に関する専門知識を持つ資格で、マンションの売買や賃貸に関する業務で役立ちます。取引の際の契約内容の確認やトラブル防止において、重要な役割を果たします。
建築士は、建物の構造や修繕に関する知識を持つ資格で、大規模修繕工事などに携わる際に有利です。特に、一級建築士の資格を持っていると、建物全体の設計や施工管理にも関与できます。
設備関連資格としては、 電気工事士、消防設備士、ボイラー技士など、マンションの設備に関する専門知識を持つ資格で、設備の維持管理や点検に関する業務で役立ちます。これらの資格を持つことで、設備に関するトラブルに迅速に対応できるようになります。
「マンション管理」の働き方とキャリアパス、年収
マンション管理の働き方には、会社員として働く方法と、フリーランスとして働く方法があります。以下にそれぞれのキャリアパスと年収について紹介します。
1.会社員としての働き方とキャリアパス
マンションやビルの管理・運営を専門に行う管理会社の会社員として未経験で働く場合、アシスタント業務からスタートし、経験を積むことで管理職に昇進することが一般的です。資格を取得することで、より責任のある業務を任され、昇進のチャンスが増えます。資格を持つことで、特定のプロジェクトや大規模修繕工事の管理を任されることもあります。
平均年収は約400万円ほど。年収は、資格の有無や経験年数によって異なりますが、資格を持っている場合は年収が高く設定されることが多いです。例えば、管理業務主任者の資格を持つと、年収が約20%程度上昇するケースもあります。会社員として働く場合、健康保険や年金、住宅手当などの福利厚生が充実していることが多いです。
2.フリーランスとしての働き方とキャリアパス
フリーランスとして働く場合、管理会社や管理組合との契約を通じて業務を行います。安定した収入を得るためには多くのクライアントを確保する必要があります。資格を活かして、専門的なコンサルティング業務を行うことも可能です。
年収は、フリーランスの場合、案件ごとに収入が変動するため、月々の収入が不安定になることがありますが、成功すれば高収入を得ることも可能です。フリーランスとして働く場合、福利厚生は自己負担となるため、計画的な資金管理が重要です。また、独自のスキルや経験を活かして、特定の分野に特化したサービスを提供することで、高い評価と収入を得ることができます。
マンション管理業界の将来性
マンション管理業界は、様々な要因によって今後も需要が高まることが予想されます。特に専門的な知識とスキルを持つマンション管理者や管理会社の需要が増加し、業界全体が活況を呈することが期待されます。
要因の1つ目は「高齢化社会の進展」で、安全で利便性の高い住環境を求める高齢者向けのマンション需要が高まっています。
2つ目は「都市部の人口増加と再開発」で、再開発プロジェクトが数多く進行しています。新築マンションの供給も増加しており、これらのマンションの管理が必要となります。
3つ目は「既存マンションの老朽化」で、1970年代から1990年代にかけて建設されたマンションが老朽化しています。このようなマンションの維持・管理、修繕が必要となるため、管理会社の役割がますます重要になります。
4つ目は「住民の意識変化」で、快適で安全な住環境を求める傾向が強まっています。これに対応するため、マンション管理の質を向上させることが求められます。
5つ目は「法律・規制の強化」で、マンション管理に関する法律や規制が強化されています。このため、法令遵守のための専門的な知識が求められ、資格を持つ管理者や専門的な知識を有する管理会社の需要が高まります。