通訳 ~異なる国の人を結ぶ言葉の伝道師~
仕事の役割 ~国際会議やテレビでの活躍も!~
通訳はその名の通り、海外の言語をその国の言葉へと翻訳して、話し手と聞き手のコミュニケーションを補佐する仕事です。グローバル企業の商談や国際会議、大手ホテル、テレビ番組など様々なシーンで活躍しています。企業に通訳担当として所属する人もあれば、専門の通訳会社の社員として各現場に派遣される人もいます。また、数は多くありませんが、個人で通訳として活躍しているフリーランスもいます。
通訳のスタイルによって、通訳のしかたも微妙に違ってきます。具体的には以下のようなスタイルがあります。
●同時通訳
通訳のなかでも一般的なのがこのスタイルです。発言者の言葉を数秒遅れて通訳します。通訳する間は発言者の言葉に耳を傾ける必要があるので、リスニングスキルと集中力が求められます。
●逐次通訳
発言者が話す間はメモをとり、区切りがついたら通訳を始めるスタイルです。正確性はあるものの、同時通訳よりも時間がかかってしまうというデメリットがあります。
●ウィスパリング通訳
聞き手が少数のときに用いられる同時通訳のひとつ。通訳は聞き手の傍に寄り、発言者の言葉をささやくように通訳します。
どのスタイルにも、高度な語学力と集中力、リスニング力が求められます。また、微妙なニュアンスを伝えるためのコミュニケーション能力も求められます。
おおよその年収
平均年収は約400万円と言われています。フリーで活躍人も多く、年収1000万円を稼ぐ人もいますが、300万円も下回る人もいるなど、個人によって幅もあるようです。
求められる能力 ~語学力とその国の文化・事情に関する知識~
通訳に資格は必要ありませんが、言うまでもなく語学力は必須です。非常に高い語学力が必要になるので、外国語系大学や大学の外国語学科などに進み、基礎から語学を学ぶ必要があります。そして、大学で外国語を学んだだけでは通訳の仕事に就けるわけではなく、リスニング力やより高度な語彙力を身につけるため、訓練が必要になります。現在、通訳として活躍する人の多くは、通訳の養成スクールなどに通って学んだ経験を持っているのが実態です。
また、通訳として仕事の幅を広げるには、言語を単純に通訳する技術面を磨くだけではなく、留学などをして、国の文化や習慣に触れることも大切です。そのようなことを学んだ上での通訳は深みも出てきますし、その国独特の言い回しやことわざ、比喩表現などにも対応できるので、通訳の幅が広がります。
向いている人柄 ~好奇心旺盛でコミュニケーション能力の高い人~
当然のことながら、外国に興味がある人が向いています。しかし「何となく興味がある」というレベルでは難しいかもしれません。通訳は完全にネイティブの言葉を聞き分け、正しく伝えなければなりません。そのため、レベルの高い語学力が求められますので、勉強することが楽しいと感じられる人が向いています。また、通訳は人の間に立って人と人をつなげる仕事ですので、コミュニケーションスキルの高い人が向いています。知らない人と話すことが多いので、初対面でもすぐに打ち解けられる第一印象の良さがあると、なおいいでしょう。
仕事のやりがい ~異国の人同士が通じ合えたときの喜び~
「言葉が通じない人の間に入って、コミュニケーションをスムーズにする」、「国籍の異なる人同士を自分の外国語スキルで結びつける」、通訳の仕事ではそんな喜びが大きいでしょう。ビジネス通訳の場合、重要な取引の話もあり、微妙なニュアンスも正確に伝える必要があります。常に言葉への感性を磨き続けなければいけないプレッシャーもありますが、自分の通訳のクオリティを高めることに喜びを感じられる人であれば、大きなやりがいにつながるはずです。
仕事の辛いところ ~文化の違いがストレスになることも?~
日本語は「侘・寂」、「本音とたてまえ」などがあり、独特のニュアンスがあります。そのニュアンスを外国語として通訳するのは、通訳という職業のなかでも大きな苦労のひとつです。どんなに高いレベルの語学力があっても、そのニュアンスを表現するまでには長い道のりになるのかもしれません。また、通訳の仕事は、日本人以外の方との仕事が主になります。当然、国も違えば文化も違います。時には文化の違いからストレスを感じることもあるでしょう。また、近年は通訳でなくても英語スキルに長けた人材が増えているため、仕事の場が少しずつ減っているという懸念もあるようです。(ライター:二之形幸子)